2019年12月12日木曜日


112-20191212

今回は、「計画年休」に関する条文を作成します。

第○条(計画年休)
従業員が有する年次有給休暇のうち5日を超える部分については、労働者の過半数を代表する者と労働基準法第39条第6項に基づき労使協定を締結し、その定めるところにより計画的に付与するものとする。

次回は、「計画年休」に関する条文の解説をします。

2019年12月5日木曜日


111-20191205

今回は「長期の年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
1    従業員が15日以上にわたる長期の年次有給休暇を請求した場合、歯科医院の運営につ
いてどのような支障が考えられるのか予測が困難です。
ですから、この就業規則では、最初の休暇日の30日以上前に文書で申出て院長と従業員
との間で時季及び取得日数等について事前調整することとしました。

2 年休の事前調整に関する判例を紹介しておきましょう。
通信社の報道記者が連続した22日間の長期の年休を請求したことに対して、使用者が時季変更権(請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる<労働基準法39条5項ただし書>)を行使したことについて次のように判示しています。
「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、使用者において代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど事業の正常な運営に支障をきたす蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるのが通常である。
しかも、使用者にとっては、・・・予想される業務量の程度、代替勤務者確保の可能性の有無、同じ時季に休暇を指定する他の労働者の人数等の事業活動の正常な運営の確保にかかわる諸般の事情について、これを正確に予測することは困難であり、当該労働者の休暇の取得がもたらす事業運営への支障の有無、程度につき、蓋然性に基づく判断をせざるを得ないことを考えると、労働者が右の調整を経ることなく、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で、始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、右休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、右休暇の時期、期間につきどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ない」
(時事通信社事件 平成4年最高裁判決)。

次回は「計画年休」の条文を作ります。

2019年11月13日水曜日


110-20191113

今回は、「長期の年次有給休暇」に関する条文を作成します。

第○条(長期の年次有給休暇)
従業員は、15日以上にわたる長期継続の年次有給休暇を申請するときは、指定する最初の休暇日の30日以上前までに医院に対して書面により届け出て、医院と時季及び取得日数等について事前の調整をしなければならない。

次回は、「長期の年次有給休暇」に関する条文の解説をします。


2019年11月6日水曜日


109-20191106

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
13  第7項は、半日単位の年次有給休暇を付与する規定です。
本来、年次有給休暇は1日単位が原則ですが、歯科医院では幼稚園や小学校に通う子どもがいるDHも少なくないので、学校等の行事に参加するために午前中のみ又は午後のみの有給休暇を望む声があります。
医院としても、半日単位の年次有給休暇を付与することによって人員を確保できるメリットがあります。
半日単位の年次有給休暇は、たとえば「半日有給休暇に関する規程」を設けて運用するのが妥当でしょう。

14 第8項は、年次有給休暇を取得した場合の賃金について規定しています。
これについて労働基準法は、①平均賃金を支払う、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う、③健康保険法上の標準日額相当額を支払う(この場合は、労使協定が必要)の3つの方法が定められています(労働基準法39条7項)。
いずれをとるかは就業規則で定めることが必要なので、この就業規則では②を採用しました。
したがって、月給の場合は年次有給休暇を取得しても給与の額に変更がないことになります。所定労働時間が短いパート等の賃金(年休手当)は、社会保険労務士にご相談ください。

次回は「長期の年次有給休暇」の条文を作ります。




2019年10月30日水曜日


108-20191030

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
11  5項で、出勤率の算定にあたっては、次の期間は出勤したものとして取扱うこととしています(前述の解説7及び8を参照してください)。
労働基準法398項及び行政通達もそのような取扱になっています。
  年次有給休暇を取得した期間
  産前産後の休業期間
  育児介護休業法における育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇を取得した期間
  業務上の傷病による休業期間

12 第6項は、未消化の年次有給休暇の繰越を認める規定です。
年次有給休暇請求権も、労働基準法115条の定める2年の消滅時効にかかるとする行政通達や判例(国際協力事業団事件・東京地方裁判所平成9年)がありますから、この就業規則でも未消化の年次有給休暇は翌年度に限り繰り越すことができるとしました。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。

2019年10月17日木曜日


107-20191017

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
11  第3項は、年次有給休暇の事前申請を定めています。
歯科医院の多くは事前予約制を採用していますから、従業員が突然年次有給休暇を申請しても対応できない場合が多いでしょう。
そこで、この就業規則では、原則として最初の有給休暇日の3日前までに書面で届出ることにしています。
但し、院長が事前予約制で来院する患者さんの治療に支障がないと判断してその申請を承認した場合は、有給休暇を与えることにしました。

12 年次有給休暇は、前に述べたように、一定期間の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤率を満たせば、法律上当然に発生する従業員の権利です。
これについて労働基準法は「労働者の請求する時季に与えなければならない」(労働基準法39条5項本文)と定めています(これを従業員の「時季指定権」と言います)。
そこで、この就業規則では、第4項本文で「従業員が具体的時季を指定して請求した場合には、指定された時季に年次有給休暇を与える」ことにしています。

13 他方、労働基準法は「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」(労働基準法39条5項ただし書)と定めています(これを使用者の「時季変更権」と言います)。
そこで、この就業規則では、第4項ただし書で「指定された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、従業員の指定した時季を変更することができる」としました。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。





2019年10月2日水曜日


106-20191002

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
 第2項は、パートタイマー等の年次有給休暇の比例付与(以下、「比例付与」といいます)を定めたものです。
この就業規則は正社員を対象にしていますから、比例付与は本来「パートタイマー等就業規則」に定めるべきものですが、歯科医院では妊娠、出産、育児等の理由によって正社員からパートタイマーへ転換したり、育児休業終了後に職場復帰する際に再び正社員として就労するなどの例が多いことから、便宜上正社員の就業規則にも規定しました(歯科医院の多くはパートタイマーを雇用していますから「パートタイマー等就業規則」も必要です)。
パートタイマーとは、正社員よりも短い勤務時間で働いている(正社員よりも所定労働日数が少ない)従業員のことをいい、賃金が月給か時間給かには直接関係がないので注意が必要です。

10 比例付与の対象となるパートタイマー等とは次のような従業員です。
①週によって所定労働日数が定められている場合は、1週間の所定労働日数が4日以下の従業員(5日以上は比例付与から除外されることに注意)。
②週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合は、年間所定労働日数が216日(月18日)以下の従業員。
③所定労働日数が①、②であっても、1週間の所定労働時間が30時間以上の従業員については正社員と同じ日数の年次有給休暇を与えなければならないので、比例付与の対象から除外されます。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。

2019年9月17日火曜日


105-20190917

今回も「年次有給休暇」の解説をします。
(解説)
 出勤率を計算する場合には、「全労働日」に含めるかどうか、「出勤とみなされる日」に含めるかどうかを明確にする必要があります。
法令や通達で定められている日を一覧表にしてみましょう。


  事由

取扱  
労基法上の
年次休休暇を取得した期間
労基法上の
産前産後の休業期間
育児介護休業法による育児休業期間
育児介護休業法による介護休業期間
業務上の傷病による休業期間
使用者の責めに帰すべき休業期間
正当な争議行為の期間
所定休日に労働した日
私傷病等による休職期間
全労働日に含めるか








除外

除外

除外

除外
出勤とみなされる日に含めるか






除外

除外

除外

除外
「○」は計算に含め、「除外」は計算から除外するもの


8 次の期間については、計算に含めるかどうか医院の就業規則で自由に定めることができます。


   事由

取扱

通勤災害によって休業した期間
生理休暇日
育児介護休業法による看護休暇
育児介護休業法による介護休暇
医院の設立記念日等
全労働日に含めるか


自由

自由

自由

自由

自由
出勤とみなされる日に含めるか

自由

自由

自由

自由

自由



次回も「年次有給休暇」の解説をします。



2019年9月10日火曜日


104-20190910

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
5  労働基準法は、「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と定めています(労働基準法39条第1項)。
そこで、この就業規則でも、年次有給休暇を付与するのは「全労働日の8割以上出勤した者に限る」としています(1項)。
つまり、出勤した日÷全労働日=出勤率が8割以上であることを要件として有給休暇を付与することとしています。

6 ここで「全労働日」とは、“ 労働者が労働契約上労働義務を課せられている日 ”のことですから(最高裁平成4年判決)、所定労働日と考えていいでしょう。
所定労働日に含まれるかどうかについては、次回に解説します。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。




2019年9月3日火曜日


103-20190903

今回も「年次有休休暇」の解説をします。

(解説)
3 年次有休休暇を付与する起算日(いつから付与するか)については、①従業員それぞれの雇入日(就労開始日)を基準として個別に付与する方法、②全従業員について一定の締切日(たとえば、毎年41日)を定めて、統一的に付与する方法があります。
歯科医院は、一般的に従業員が少人数なので、①の方法を採用しても事務処理が煩雑になることはありませんから、この就業規則では①の方法を採用しています。

4 労働基準法39条は、年次有給休暇の付与には一定期間の「継続勤務」を要件としています。
継続勤務とは、在籍期間(雇用契約が継続している期間)のことですが、継続勤務しているかどうかは、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものとされています。
たとえば、退職者を再雇用している場合は、退職と再雇用との間に相当期間が経過し、客観的に雇用関係が断たれていると認められる場合を除き、勤務年数を通算することになります。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。

2019年8月20日火曜日


102-20190820

今回は「年次有休休暇」の解説をします。

(解説)
1 年次有休休暇とは、毎年一定の日数の休暇を有給で保障することにより、労働者が休息や余暇を享受し、健康で文化的な生活を実現することを目的とした制度です。
この年次有休休暇は、労働基準法39条に規定されていますが、年休の日数(1項~4項)や年休日の賃金(7項)は、いずれも労働条件の最低基準であって、この基準に達しない合意(契約)は無効となり、無効となった部分は労働基準法39条の基準が適用されることになります(労働基準法13条)。
その意味で、労働基準法39条に定める年休は「法定年休」といいます。

2 これに対して、労働基準法上の年休(法定年休)を上回る年休を「法定外年休」といいます。
歯科医院では、最近、利用目的を限定して特別の年休(例えば、「誕生日休暇」、「デート休暇」、「リフレッシュ休暇」、「家族サービス休暇」など)を与える医院が増えています。
歯科衛生士等の確保や定着に大きな効果がある制度であると言えます。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。

2019年7月18日木曜日


101-20190718

今回は、「年次有給休暇」に関する条文を作成します。

第○条(年次有給休暇)
5 第1項の出勤率の算定にあたっては、次の期間は出勤したものとして取扱う。
  年次有休休暇を取得した期間
  産前産後の休業期間
  育児介護休業法における育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇を取得した期間
  業務上の傷病による休業期間
6 当該年度に新たに付与した年次有休休暇の全部又は一部を取得しなかった場合には、その残日数は翌年度に限り繰り越される。
7 従業員は、医院が事前に承認した場合、別に定める細則に基づき、半日単位で年次有休休暇を取得することができる。
8 年次有休休暇を取得した期間については、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支給する。

次回は「年次有給休暇」の条文の解説をします。

2019年7月11日木曜日




100-20190711

今回は、「年次有給休暇」に関する条文の第3項と第4項を作成します。

第○条(年次有給休暇)

3 従業員は、年次有給休暇を取得しようとするときは、原則として指定する最初の休暇日の3日前までに医院に対して書面により届け出なければならない。
これに反する年次有給休暇の申出は、院長が承認した場合に限り年次有給休暇として扱う。
4 医院は、従業員が具体的時季を指定して請求した場合には、指定された時季に年次有休休暇を与える。
但し、指定された時季に年次有休休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、従業員の指定した時季を変更することができる。

次回も引続き「年次有給休暇」の条文を作成します。


2019年7月3日水曜日


99-20190703

今回は、「年次有給休暇」に関する条文の第1項と第2項を作成します。

第○条(年次有給休暇)
1 医院は、従業員に対し、雇入日を起算日とし、労働基準法39条の規定に従い、勤続年数に応じて以下の区分により年次有給休暇を与える。
但し、年次有給休暇を付与される者は、前年度(初年度の初日に付与される年次有給休暇については付与日前6か月)の全労働日の8割以上出勤した者に限る。
なお、本条において年度とは、採用後6か月経過日から1年ごとに区分した期間をいう。

勤続年数
6ヵ月
1
6ヵ月
2
6ヵ月
3
6ヵ月
4
6ヵ月
5
6ヵ月
66
以上
付与日数
10
11
12
14
16
18
20









2 前項の規定にかかわらず、週所定労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下又は年間所定労働日数が216日以下の者に対しては、次の表のとおり勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を与える。

労働日数
所定労働日数
勤 続 年 数

6ヵ月

1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
66月以上
4
 169日~216
7
8
9
10
12
13
15
3
 121日~168
5
6
6
8日
9
10
11
2
  73日~120
3
4
4
5
6
6
7
1
  48日~ 72
1
2
2
2
3
3
3


次回は、「年次有給休暇」に関する条文の第3項以下を作成します。