122-20200730(新型コロナ対応「労働条件の変更(定期昇給の凍結)」解説
引続き、新型コロナウイルスの影響により従来の労働条件を変更せざるを得なくなった場合の対応について解説します。
今回から数回にわたって「定期昇給の凍結」について解説することにします。
1 患者さんが新型コロナウイルスに感染するのを避けるために受診(通院)を控える傾向がみられ、それによって経営状況が悪化した医療機関が少なくないといわれます。
歯科医院の多くは、これまでも競争過多による患者さんの減少などで経営環境は必ずしも良好とはいえない状況でした。
加えて、新型コロナウイルスの影響による受診(通院)控えでさらに売上を減らした医院があるといいます。
このような状況に鑑みて、定期昇給を凍結する(見送る)ことができるのか、できるとしたらどのような条件が必要かについて考えてみましょう。
2 ここで、「定期昇給」と「ベース・アップ」の違いについて触れておきます。
「定期昇給」とは、毎年一定の時期を定め、従業員の能力や医院に対する貢献度等を勘案しつつ、定期的に賃金の基本的部分を増額することです。
3 たとえば、21歳のDHのAさんの基本給が250,000円の場合、これを5,000円増額して255,000円にすることが「定期昇給」です。
「ベース・アップ」とは、DH全員の賃金水準を一律に引き上げるものです。
4 たとえば、DH全員の基本給を2,000円引き上げて、21歳のAさんの基本給250,000円を252,000円に、22歳のBさんの基本給260,000円を262,000円に、23歳のCさんの基本給270,000円を272,000円にすることを「ベース・アップ」といいます。
5 定期昇給とベース・アップを同時に行なうと、たとえば、Aさんの基本給は257,000円になります。
定期昇給もベース・アップも人件費の増加になります。
定期昇給は、中途退職や定年退職によって従業員が入れ替るので人件費の負担はそれほど増しませんが、ベース・アップは、全員の基本給を底上げすることですから、将来にわたって人件費の負担が増すことになります。
次回も引続き「定期昇給の凍結」について解説します。
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