121-20200716(新型コロナ対応「労働条件の変更(就業時間の繰上げ・繰下げ)」解説
今回も引続き、公共交通機関を利用して通勤する従業員が新型コロナウイルスに感染するのを防止するために、臨時的に就業時間を繰上げる(早くする)又は繰下げる(遅くする)場合について解説します。
3 新型コロナウイルスの感染を避けるために臨時的に始業・終業時刻を変更するのではなく、就業規則で定める始業・終業時刻を将来にわたって恒常的に変更する場合には、就業規則を変更し、従業員の意見書を添付して、所轄労働基準監督署長に届出る必要があります。
この場合に問題になるのは、たとえば、勤務時間帯を大幅に夜間の勤務時間帯にシフトするなど変更の幅が大きい場合には、従業員にとって労働条件の不利益変更となる可能性があることです。
労働契約法は、労働条件の変更は合意によるとする原則を確認し(労働契約法8条)、次いで就業規則による労働条件の不利益変更は原則として労働者との合意によらずに行なうことはできないと規定しています(同法9条)。
そのうえで、①変更の合理性、②変更後の就業規則の周知という2つの要件を満たした場合に限り、例外的に就業規則による不利益変更を認めています(同法10条)。
なお、就業規則を作成していない歯科医院が、新規に就業規則を作成した場合、その就業規則の規定によってそれまで適用されていた労働条件が不利益に変更された場合も、同法10条を類推適用し、①及び②の要件を満たした場合に限り、新規に作成した就業規則による不利益変更を有効とすることになります。
労働条件の不利益変更については、合意(同意)の認定、変更の合理性、周知の方法など難しい問題がありますので、社会保険労務士にご相談下さい。
次回は、「業績不振による定期昇給の凍結」について解説します。
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