2021年2月17日水曜日

 

 

137-20210216

 

今回も引続き「産前・産後休業」について解説します。

 

(解説)

4 労働基準法65条1項の産前休業は、女性労働者の請求を要件として付与されます。この就業規則の第1項も「女性従業員から請求があったときは」と規定していますから、6週間以内に出産する予定の女性従業員から請求がない場合は就業させてもいいことになります。しかし、歯科医院の女性従業員の業務、特に歯科衛生士の業務は終日立って行なう作業が多いので、妊婦にとっては身体的な負担が大きいといえます。ですから、院長は、当該女性従業員から請求がない場合でも、念のため、母性保護及び労務管理の観点から、産前休業の請求をするかどうかの確認をすることが必要になると思われます。

 

5 労働基準法65条2項の産後休業のうち最初の6週間は強制的な休業ですが、6週間を経過した後は、女性従業員が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えないとされています。出産後の妊婦及び新生児の健康状態については個人差が大きいため、この就業規則の第2項で「医師が支障なしと認めた業務に就かせることができる」ことにしました。

 

6 労働基準法65条は、産前産後期間中の賃金保障について規定していないので、この期間中に賃金を支給するかどうかは就業規則に委ねられています。この就業規則の第3項は、産前産後休業期間中の賃金について無給であるとしました。しかし、産前産後休業期間に収入がなくなることは、従業員の生活に著しい支障をきたすことになります。ですから、歯科医院では、①健康保険法の出産手当金や、②雇用保険法の育児休業給付金を申請できるように、社会保険及び雇用保険の制度を整えておく必要があります。

 

次回は「軽易業務への転換」についての条文を作ります。

2021年2月10日水曜日

 

136-20210210

 

今回は「産前・産後休業」について解説します。

 (解説)

1 「出産」とは、妊娠4か月(1か月を28日として、4か月目の初日から計算開始するため、85日<28×3+1>)以上の分娩を意味します。これに該当すれば早産、流産、死産の場合も「出産」となりますから、いずれの場合も産前・産後休業の対象になります。

 2 産前6週間、産後8週間の計算は間違いやすいので注意が必要です。産前6週間は分娩予定日を基準として計算し、産後8週間は実際の分娩日の翌日から起算します(民法140条)。たとえば、歯科医院の従業員Aさんの分娩予定日が10月13日、実際の分娩日が10月18日であったとします。前述の計算方法によれば、産前休業は9月2日から10月13日まで(42日間)、産後休業は10月19日から12月13日まで(56日間)となります。ちなみに、出産日当日は産前6週間に含まれるとされているので(行政通達)、10月14日から10月18日までの5日間も産前休業になります。

 3 労働基準法は、「使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」(65条1項)、「使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。」(65条2項)と規定しています。休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項とされているので(労働基準法89条1号)、この就業規則の1項及び2項は、前述の労働基準法65条に基づいて、女性従業員に産前休業及び産後休業を与えることを規定したものです。

 次回も引続き「産前・産後休業」の解説をします。

2021年2月3日水曜日

 

135-20210203

今回は、「産前・産後休業」についての条文を作成します。

第〇条(産前・産後休業)

1 医院は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性従業員から請求があったときは、産前休業を与える。

2 産後8週間を経過しない女性従業員は就業させない。但し、産後6週間を経過した女性従業員が請求した場合においては、その者について医師が支障なしと認めた業務に就かせることができる。

3 前2項の休業期間については、無給とする。

次回は、「産前・産後休業」についての条文の解説をします。

2021年1月27日水曜日

 

134-20210127

 今回は、「育児時間」について解説します。

 (解説)

1 育児時間は、労働基準法67条で「生後満1歳に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日に2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる」(1項)、「使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない」(2項)と規定されています。この育児時間は、労働基準法34条の休憩時間と同様に、就業規則の絶対的必要記載事項とされていますから(労働基準法89条1号)、必ず就業規則に規定しなければなりません。

 2 労働基準法34条の休憩時間は労働時間の途中で与えなければなりませんが、通達により、この育児時間は勤務時間の初めと終わりに与えることができ、1日1回60分の付与でもかまわないとされています。歯科医院は女性従業員がほとんどですから、院長は、従業員からの請求を待たずに始業時刻を遅くしたり、終業時刻を早めたりするなど、柔軟な対応が求められます。

 3 育児時間の賃金を有給とするか無給とするかは使用者の判断に委ねられています。この就業規則では、育児時間の賃金は無給としました。

 

次回は「産前・産後休業」の条文を作ります。

2021年1月20日水曜日

 

133-20210120

 

今回は、「育児時間」についての条文を作ります。

 

第○条(育児時間)

1 満1歳に達しない子を養育する女性従業員から請求があったときは、休憩時間のほか、1日について2回それぞれ30分間の育児時間を与える。

2 前項の育児時間は無給とする。

 

次回は、「育児時間」の条文の解説をします。

2021年1月8日金曜日

 

20210108

今回も引続き、「妊産婦従業員の労働時間」の解説をします。 

(解説)

3 労働基準法は、妊産婦から請求があった場合は、就業規則等で①1か月単位の変形労働時間制、②1年単位の変形労働時間制、又は③1週間単位の変形労働時間制を採用していた場合でも、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないと規定しています(労働基準法66条1項)。 

4 この就業規則では上記の3つの変形労働時間制のいずれも採用してはいませんが、歯科医院によっては、①又は②の変形労働時間制を採用している医院も見受けられます。        また、将来、変形労働時間制が必要になったときに備えて、就業規則に「医院は業務の遂行上必要があるときは、労使協定を締結し毎月○日を起算日とする1か月単位の変形労働時間制を採用することができる」というような内容の規定を設けている歯科医院もあります。    いずれの場合でも、3項によって妊産婦である女性従業員に対する変形労働時間制の適用は制限されることになります。 

次回は、「育児時間」に関する規定を作ります。