137-20210216
今回も引続き「産前・産後休業」について解説します。
(解説)
4 労働基準法65条1項の産前休業は、女性労働者の請求を要件として付与されます。この就業規則の第1項も「女性従業員から請求があったときは」と規定していますから、6週間以内に出産する予定の女性従業員から請求がない場合は就業させてもいいことになります。しかし、歯科医院の女性従業員の業務、特に歯科衛生士の業務は終日立って行なう作業が多いので、妊婦にとっては身体的な負担が大きいといえます。ですから、院長は、当該女性従業員から請求がない場合でも、念のため、母性保護及び労務管理の観点から、産前休業の請求をするかどうかの確認をすることが必要になると思われます。
5 労働基準法65条2項の産後休業のうち最初の6週間は強制的な休業ですが、6週間を経過した後は、女性従業員が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えないとされています。出産後の妊婦及び新生児の健康状態については個人差が大きいため、この就業規則の第2項で「医師が支障なしと認めた業務に就かせることができる」ことにしました。
6 労働基準法65条は、産前産後期間中の賃金保障について規定していないので、この期間中に賃金を支給するかどうかは就業規則に委ねられています。この就業規則の第3項は、産前産後休業期間中の賃金について無給であるとしました。しかし、産前産後休業期間に収入がなくなることは、従業員の生活に著しい支障をきたすことになります。ですから、歯科医院では、①健康保険法の出産手当金や、②雇用保険法の育児休業給付金を申請できるように、社会保険及び雇用保険の制度を整えておく必要があります。
次回は「軽易業務への転換」についての条文を作ります。
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