212-20221207
今回は「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説します。
(解説)
1 「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説する前に、前に解説した{懲戒処分としての「出勤停止」}について復習しておく必要があります。懲戒処分としての「出勤停止」について、第190回で次のように解説しています。
2 この就業規則は「出勤停止」について、「始末書を提出させて将来を戒めるとともに7労働日以内の期間を定めて出勤を停止し、その間の賃金を支給しない」と規定しています。出勤停止期間中は賃金が支給されず、勤務年数にも算入されないので、出勤停止は従業員にとって過酷な処分といえるでしょう。したがって、出勤停止処分は、非違行為に対して何度も注意や警告を発したにもかかわらず、従業員がその態度を改めなかった場合に限って選択すべきであると考えます。歯科医院では、いきなり出勤停止処分を選択せずに、とりあえず自宅待機命令を発するのが現実的かもしれません。自宅待機命令は、たとえば歯科衛生士が非違行為を行なった場合に、その懲戒処分を決定するまでの間、あるいは他の歯科衛生士や歯科助手に対する悪影響を避けるために、院長が暫定的に当該歯科衛生士に対して就労を禁止する措置のことをいいます。自宅待機期間中の賃金が支払われますから、出勤停止処分とは異なります。院長は、就業規則上の根拠や手続を考慮せずに、日常の指揮命令権を行使して自宅待機命令を発することができます。当該歯科衛生士が反省すれば自宅待機だけで目的を達することができますし、そうでない場合は改めて出勤停止処分をすることになるでしょう。その場合も二重処分禁止には違反しません(以上第190回参照)。
次回も引続き「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説します。
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