213-20221221
今回も「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説します。
(解説)
3 懲戒処分としての「出勤停止」については前回解説で復習しました。他方「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」は懲戒処分ではありません。これは、諭旨解雇事由又は懲戒解雇事由に該当するような重大な非違行為が疑われる場合に、十分な事実関係の調査を行なうために従業員の労務の提供を拒否する(出勤を拒否する)ことをいいます。
4 諭旨解雇又は懲戒解雇の前提となる非違行為を十分に調査せずに処分するのは、後にその有効性が争われたときに困ることになるので、これは必要な労務管理上の措置であるといえます。したがって、この就業規則では、このような出勤拒否の措置を就業規則に明示して労働契約の内容としました。
5 この就業規則では、出社拒否期間中の賃金について無給と定めています。使用者が従業員の労務の提供を拒否した場合、その期間中に賃金を支払う義務があるかどうかが問題になります。従業員の行為が諭旨解雇又は懲戒解雇に該当するような重大な非違行為の疑いがあり、かつ十分な事実関係の調査を行なうために労務管理上必要な措置であるという特段の理由がある場合を考えてみましょう。このような場合は、当該従業員の労務提供を拒否することは使用者の責めに帰すべき事由ではなく、従業員の責めに帰すべき事由であるから、使用者に賃金支払義務はないと考えられます。
6 「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」については、状況に応じて具体的に判断する必要がありますから、社会保険労務士などの専門家に相談することをお薦めします。
次回は、諭旨解雇又は懲戒解雇に処する場合の「弁明の機会」に関する条文を考えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿