2021年5月19日水曜日

 

150-20210519

 

今回も引続き「定年退職」について解説します。

(解説)

4 従業員の定年を満65歳とした場合に、60歳から65歳までの賃金をどうするかという問題があります。

従来、賃金の決定については基本的に労使の自治に委ねられており、事業主は「合理的な裁量の範囲」の賃金を提示しなければならないと考えられています。高年齢者雇用安定法の改正の趣旨は、厚生年金の支給開始年齢が引き上げられたことによって無年金・無収入となる高齢者が発生することを防止することにあります。したがって、高齢者の賃金が、年金を受給するまでの間に著しく低い水準であれば、事業主の合理的裁量の範囲を逸脱することになります。特に歯科医院では、たとえば歯科衛生士は60歳を過ぎても引続き歯科衛生士としての職務を行うのが普通だと考えられます。このような場合は、職務の軽減がほとんどないことになるので、当該歯科衛生士の賃金を引き下げることは合理的な裁量の範囲を否定される可能性が高くなるので注意が必要です。

 

次回は「合意退職」の条文を作ります。

 

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