2020年6月26日金曜日



118-20200626(新型コロナ対応「雇用調整助成金」 解説3)

今回も引続き「雇用調整助成金」について解説します。

9 申請書類は、厚生労働省のホームページからダウンロードし、これに入力して作成します。スムーズに入力するためには、あらかじめ「雇用保険適用事業所番号」、従業員の「雇用保険被保険者番号」、法人の場合は「法人番号」、「給与明細書」、「預金通帳」等を用意しておきましょう。

10 添付書類の「①売上簿」とは、休業した月の売上高及び1年前の同じ月の売上高を確認できる書類(「損益計算書」、「売上台帳」など)です。新型コロナウイルスの影響によって、売上が5%以上減少していることが必要です。

11 賃金支払期間に一部だけ休業した場合の給与明細書の記載は、実際に勤務した部分の賃金と、休業手当として支給した額を明確に区別して記載することが必要です。

次回は、新型コロナウイルスの影響により、労働時間、休日などの労働条件を変更する必要が生じた場合の対応等について解説します。

2020年6月18日木曜日


117-20200618(新型コロナ対応「雇用調整助成金」 解説2)

今回は、「雇用調整助成金」の申請手続と添付書類について解説します。

5 申請に必要な書類は、①休業実績一覧表、②助成率確認表、③雇用調整助成金支給申請書、④支給要件確認申立書(緊急雇用安定助成金)です。
雇用保険被保険者である従業員と雇用保険被保険者ではない従業員の申請書類は異なりますので、注意してください。

6 添付書類は、①売上簿、②タイムカード、③給与明細書、④役員名簿、⑤預金通帳(写)です(雇用保険被保険者である従業員と雇用保険被保険者ではない従業員共通)。

7 提出する必要はありませんが、「休業協定書」は必ず作成してください。協定する内容は、①休業の時期、②休業の対象者、③休業時間、④休業手当の支払基準、⑤雑則(休業協定の発効日、失効日、その他)です。

8 「休業協定書」の[④休業手当の支払基準]には、(ア)1日あたりの休業手当の額(月給の場合と時間給の場合)、(イ)1時間あたりの休業手当の額(月給の場合と時間給の場合)、(ウ)休業手当の率(60パーセント以上)を協定する必要があります。


2020年6月16日火曜日


116-20200616(新型コロナ対応「雇用調整助成金」 解説1)

今回は、「雇用調整助成金」の解説をします。

1 新型コロナウイルスの影響によって、パートタイマーを休ませ、正社員も交代で出勤することにした歯科医院も少なくないと聞いています。特に訪問歯科医療は、大幅に業務を縮小せざるを得ない状況であろうと思われます。

2 医院が従業員を解雇せずに、一時的に休ませることによって雇用を維持した場合、従業員に賃金の6割以上の「休業手当」を支払う必要がありますが、この休業手当の一定割合を医院に助成するのが雇用調整助成金です。

3 雇用調整助成金の申請は、提出書類や添付書類が多くとても煩雑なため、申請をあきらめざるを得ないという苦情が多くありました。このため、厚生労働省が519日に公表した支給申請マニュアルでは、その煩雑さが幾分緩和されています。

4 加えて、①630日までとしていた特例期間を930日まで延長し、②助成金の上限を15,000円に拡大し、③解雇などを行なっていない中小企業の場合、助成率を10分の10にするなど、追加の拡充を行なっています。

次回は、申請手順と添付書類の解説をします。



2020年6月11日木曜日


115-20200611

新型コロナウイルスが発生し、あらゆる業種がその影響を受けて、従業員を休業させなければならない状況となりました。このため私も「雇用調整助成金」の申請業務に奔走せざるを得なくなり、ブログを中断しておりました。

少し状況が落ち着きましたので、ブログを再開いたします。再開するにあたり、まず「計画年休」の解説を完成させます。引続いて「雇用調整助成金」の解説をしたいと思います。

(「計画年休」の解説)
7 2019年4月から、10日以上の有給休暇が付与されるすべての従業員に対して、毎年5日間、時季を指定して有給休暇を与えなければならなくなりました(年次有給休暇の義務化)。
これは全企業を対象に一律に適用されるので、中小企業に対する猶予措置はありません。歯科医院も直ちに対策を考える必要があります。

8 年次有給休暇の義務化の対象となる従業員とは、年次有給休暇の付与日数が10日以上の従業員です(管理監督者、有期雇用従業員を含みます)。
従業員が自分で5日以上の年次有給休暇を取得している場合は、医院がこれに加えてさらに5日の年次有給休暇を与える義務はありません。

9 歯科医院の多くはパートタイム従業員(週所定労働時間が30時間未満で、かつ週所定労働日数が4日以下又は年間所定労働日数が216日以下のパートタイムのDH等)を雇用しているので注意が必要です。
パートタイム従業員については、下表のとおり勤続年数に応じた日数の年次有給休暇が付与されます。ですから、例えば週4日勤務のDHの場合、3年6か月継続勤務し、直近1年間の出勤率が8割以上であれば、10日の年次有給休暇が付与されるので、年次有給休暇の義務化の対象になります。

労働日数
所定労働日数
勤 続 年 数

6ヵ月

1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
66月以上
4
 169日~216
7
8
9
10
12
13
15
3
 121日~168
5
6
6
8日
9
10
11
2
  73日~120
3
4
4
5
6
6
7
1
  48日~ 72
1
2
2
2
3
3
3

10 歯科医院における年次有給休暇の義務化に対する対策としては、計画年休制度をお薦めしています。
歯科医院の多くは、必ずしも年次有給休暇の取得率が高くありません。
この際、計画年休制度を導入して従業員の年次有給休暇を増やす方向で考えてみてはいかがでしょうか?
計画年休制度を導入して、年次有給休暇を全部消化する方針に切替えた医院の従業員定着率は極めて高いものがあります。

11 医院は「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存しなければなりません。
なお、年次有給休暇の規定に違反した場合(労働基準法39条7項、同89条、同39条<7項を除く>違反など)には罰則が科されることがあります。
年次有給休暇管理簿、罰則など、詳しくは社会保険労務士にご相談下さい。

次回は、「雇用調整助成金」の解説をいたします。