84-20181002
今回は「休日の振替」と「代休」について、具体例で考えます。
5 事例「S歯科医院の週休日は、2日(木曜日<休診日>と交代休日)です。
しかし、出勤すべき従業員が急に病気になったり、退職者があって人員の手当ができなかったり、その他諸々の理由で交代休日に出勤してもらうことがあります。
このような場合には、給与の締切日までに代休を与えることにしています。
ところが、従業員のKさんが『休日に出勤したのだから、その分の賃金と残業の割増賃金を頂きたい』と言ってきました。
Kさんの言うとおりにしなければならないでしょうか?ちなみに、S歯科医院には就業規則がありません。」
(解説)
(1)「休日の振替(事前の振替)」は、労働契約(就業規則等)であらかじめ特定された休日を労働日に変更することですから、院長がこれを一方的に行うことはできず、これを行うための労働契約上の根拠が必要です。
そのためには、事前に就業規則等で、業務の必要があるときは交代休日を他の日に振替ることができる旨を規定します。それにしたがって振替を行うようにします。
(2)「代休(事後の振替)」は、上記のような就業規則上の根拠なしに、実際に交代休日に出勤させてから、後でこれに代わる休日(代休)を与えるものです。
したがって、本来の休日(交代休日)における労働は休日労働にほかならず、Kさんの要求どおり、賃金と残業の割増賃金を支払わなければなりません。
これを避けるためには、就業規則に本条2項のような規定を設けることが必要となります。
(3)最近、働く人たちは、インターネットを利用して労働関係の知識を豊富にもっています。これからも、職場の労働条件に疑問をもった従業員が、院長に対してさまざまな質問や要求をしてくるケースが増えてくると思います。
この事例からもわかるように、S歯科医院に就業規則があって、「休日の振替」や「代休」の規定を定めておけば、Kさんの疑問や要求に対して就業規則を根拠に説明し、Kさんを十分納得させることができたはずです。
このように、就業規則は院長と従業員との労働契約ですから、規模の大小を問わず就業規則を作成することは歯科医院の経営にとって大きな意味があります。
私は、それぞれの歯科医院にあった就業規則を作成しています。ご相談ください。
次回は「時間外労働命令」に関する条文を作ります。
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