2017年6月21日水曜日

42-20170621

今回は、歯科医院における「パワー・ハラスメントの禁止」についての条文を作成します。

第〇条(パワー・ハラスメントの禁止)
1 従業員は、たとえ教育・指導の目的であっても、他の従業員に対して次の各号の行為を行ってはならない。
①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

2 医院は、パワー・ハラスメントの防止、相談・苦情の申出、苦情の処理・解決その他パワー・ハラスメントの防止対策を策定する。


次回は、職場における「パワー・ハラスメントの禁止」についての条文の解説をします。

2017年6月14日水曜日

41-20170614

今回は、「セクシャル・ハラスメントの禁止」に関する条文の解説をします。

(解説)
1 セクシャル・ハラスメントには、2つの類型があります(平成111011日厚生労働省告示615号)。①「対価型のセクシャル・ハラスメント」とは、従業員が、その意に反する性的な言動に対して拒否や抵抗をしたことにより、解雇、降格、減給等の不利益を受けることです。②「環境型のセクシャル・ハラスメント」とは、従業員の意に反する性的な言動が行われることにより、職場環境が害され、その能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど従業員が就業するうえで看過できない程度の支障が生じることです。歯科医院においては、優秀な歯科衛生士等を確保し、その定着を図りつつ、能力を充分に活用する必要があります。このため、本条1項で、従業員の就業環境を破壊し、十分な能力の発揮を阻害するようなセクシャル・ハラスメントを禁止しました。

2 均等法11条によって、事業主には、セクシャル・ハラスメント防止の措置義務が課されています。このため、あらかじめ相談窓口を設けて、相談・苦情の申出を受けるなど適切に対処する必要があります。この防止対策に関しては、社会保険労務士の知識・経験を活用することをお勧めします。



次回は、「パワー・ハラスメントの禁止」に関する条文を作ります。

2017年6月7日水曜日

40-20170607

今回は、歯科医院における「セクシャル・ハラスメントの禁止」についての条文を作成します。

第〇条(セクシャル・ハラスメントの禁止)
1 従業員は次に掲げる性的な言動等(セクシャル・ハラスメント)を行ってはならない。
①身体への不必要な接触、性的な冗談、性的な噂の流布、性的なものを視覚に訴える行動、食事等の執拗な誘いなど相手方の望まない言動
②相手方及び他の従業員に不利益や不快感を与え、就業環境を害し、具体的な職務遂行を阻害し、又はそのおそれを発生させるような言動
③その他前各号に準ずる性的言動

2 医院は、セクシャル・ハラスメントの防止、相談・苦情の申出、苦情の処理・解決、プライバシーの保護その他セクシャル・ハラスメントの防止対策を策定する。


次回は、「セクシャル・ハラスメントの禁止」についての条文の解説をします。

2017年5月25日木曜日

39-20170525

前回に引き続き「従業員の遵守事項」に関する条文の解説をします。
今回(第4回)は、「(3)従業員としての地位・身分に伴う遵守事項」及び「(4)その他上記に準じる遵守事項」に関する解説です。

(解説)
1 ㉔、㉕、㉖、㉘、㉚、㉛は、歯科医院では常識的な遵守事項です。

2 ㉗は、兼業等を無制限に認めると職場での仕事がおろそかになる可能性があり、また長時間労働につながることから健康を損なう惧れがあるので、院長の許可がなければ兼業はできないとしました。

3 歯科医院の経営上の情報や、患者さん等の個人情報(マイナンバーを含む)が漏洩すれば、歯科医院の円滑な運営に支障をきたします。ですから、㉙で歯科医院の内外を問わず、また退職後においても秘密の漏洩を禁止しました。

4 歯科医院の従業員の遵守事項を①から㉛まで定めましたが、必要なすべての遵守事項をあらかじめ具体的に定めておくことは不可能です。そこで、㉜で、①から㉛に準じるような歯科医院の職場秩序違反を包括的に禁止しました。

5 歯科医院の経営環境は常に変化しており、そのときどきの状況に応じて服務規律を新設・変更することが必要になります。これが労働条件の不利益変更に当たるかどうかが問題になりますが、不利益変更には当たらないと考えていいでしょう。



次回は、「セクシャルハラスメントの禁止」に関する条文を作ります。

2017年5月10日水曜日

38-20170510

前回に引き続き「従業員の遵守事項」に関する条文の解説をします。
今回(第3回)は、「(2)医院の設備・器具・備品・情報等の管理・保全のための遵守事項」に関する解説です。

(解説)
1 ⑲、⑳、㉑は、相互に関連する事項です。設備・器具・備品等を管理・保全するためのポイントは、取扱マニュアルを作成し、これに基づいて、あらかじめ決められた担当者が補充・発注等を行うことです。院長は、定期的に担当者から管理・保全の状況を聴取するようにしましょう。医療廃棄物は、その種類ごとに法令で定められた適切な処理・処分方法を遵守しなければなりません。これも取扱マニュアルを作成し、これに基づいて、あらかじめ決められた担当者が行うようにしましょう。

2 歯科医院のスタッフ休憩室の管理が盲点になっています。ガスレンジ、ストーブなどの火気の使用や喫煙による火災を絶対に発生させてはなりません。火気責任者を選任して管理することが大切です。

3 ㉓は、情報の管理・保全のための規定です。特に患者さんのデータの流失は、歯科医院のイメージを著しく損なうので、医院の規模の大小にかかわらず個人情報保護法を遵守することが大切です。



次回も引き続き、「従業員の遵守事項」に関する条文の解説(第4回)をします。

2017年4月26日水曜日

37-20170426

前回に引き続き「従業員の遵守事項」に関する条文の解説をします。
今回(第2回)は、「(1)就業する際の遵守事項」に関する解説です。

(解説)
1 就業する際の遵守事項とは、歯科医院の従業員の就業の仕方や職場のあり方に関する規律をいいます。本条では、①から⑱に規定しています。この中で、歯科医院に必要な規律として特に規定しておかなければならないのは、④、⑤、⑥,⑦、⑭だと思われます。

2 歯科医院は、患者さんの健康に係る仕事をしていますので、④仕事上の失敗を隠したり、事実と異なる報告をすれば、院長の治療行為に影響を与えることになります。その意味で重要な規定です。

3 従業員が、診察台や治療器具を用いて、従業員同士で治療行為を行う例が見受けられます。⑤院長の許可なく、他の従業員に自身の治療行為を行わせ、もしくは他の従業員の治療行為を行わないように、徹底しましょう。従業員の技術を向上させるために職場内訓練が必要な場合は、院長の指導の下で、あらかじめ作成した教育プログラムに基づいて訓練するようにしましょう。

4 歯科医院は、⑥治療が長引くなど、所定の時間に休憩がとれないことがままありますし、⑦休憩時間にも患者さんや取引先からの電話に対して応対しなければならない場合が少なくありません。このような場合は、時間外労働として賃金を支払わなければならないので、このような時間の把握がきちんとなされるように、あらかじめマニュアルを作成して労働時間を管理することが大切です。

5 ⑭職場の整理整頓、清潔の保全は、いうまでもなく医療機関である歯科医院にとって極めて重要です。しかし、細部にまで目が行き届いていない医院も少なからず見受けられます。これを解決するには、作業マニュアルを作成して、日々運用することが必要です。


次回も引き続き、「従業員の遵守事項」に関する条文の解説(第3回)をします。

2017年4月10日月曜日


36-20170410



今回は、「従業員の遵守事項」に関する条文の解説(第1回)をします。



(解説)

1 労働契約の当事者(院長と従業員)は、労働契約を遵守するとともに、信義誠実の原則に従って権利を行使し、義務を履行しなければなりません(労働契約法3条4項)。また、就業規則に合理的な内容の服務規律(従業員の遵守事項)が定められ、その就業規則が実質的に周知されている場合には、従業員はこれを遵守する義務を負います(労働契約法7条本文)。ところが、歯科医院の多くは就業規則もなく、院長と従業員との権利義務関係や従業員が遵守すべき服務規律も必ずしも明確ではありません。このため、問題が発生したときに、とかく院長の一方的でその場しのぎの場当たり的な対応や処理になりやすく、これが従業員の不平・不満の温床になり、患者さんに対するサービスの低下を招き、従業員が定着しない大きな要因になっています。



2 服務規律は、業種や業態により異なります。歯科医院には、歯科医院に必要な服務規律があります。また、歯科医院を取り巻く環境は常に変化しており、歯科医院の従業員が遵守すべき規律を定める服務規律も、時代の動向や患者さんのニーズの変化に対応した見直しが必要です。



次回も引き続き、「従業員の遵守事項」に関する条文の解説(第2回)をします。