2023年7月27日木曜日

 

237-20230727

今回は、「病者に対する就業禁止」について解説します。

(解説)

1 労働安全衛生法や感染症法等の法令によって、従業員の就業禁止や就業制限が定められています。第1項は、この法令上の就業禁止や就業制限を就業規則に規定することによって、労働契約の内容として明確にしたものです。

2 第2項は、法令上の就業禁止や就業制限に該当しない場合であっても、院長が従業員の心身の状況が業務に適しないと判断した場合は就業を禁止することができる旨を定めたものです。従業員は、雇用契約によって労務提供義務を負っていますが、この義務は心身共に健康な状態でなされるべきものです。とくに、歯科医院は患者さんの健康に影響する業務を行なっていますから、院長は法令上の就業禁止や就業制限に該当しない場合であっても、心身の状況が業務に適しない従業員の労務提供を拒否することができるとしたものです。

次回も引続き「病者に対する就業禁止」について解説します。

2023年7月19日水曜日

 

236-20230719

今回は、病者に対する就業禁止に関する条文を作成します。

第〇条(病者に対する就業禁止)

1. 医院は、従業員が次の各号のいずれかに該当したときは、就業を禁止する。

①伝染性の疾病(新型インフルエンザ、新型コロナ及びそれらの疑いを含む。以下同じ。)にかかった者

②心臓、腎臓、肺等の疾病であって、就業により病勢が増すおそれがあると判断される者

③前各号に準じる疾病により就業が不適当と認められる者

2. 前項の規定にかかわらず、医院は、従業員の心身の状況が業務に適しないと判断した場その就業を禁止することがある。

3.前2項により就業を禁止された期間は無給とする。但し、医院が必要と認めたときはこの限りではない。

4.就業禁止中の従業員が再勤務を申出たときは、医師の診断を求めたうえで再勤務の当否を決定する。

5.従業員は、伝染性の疾病に感染した場合又はその疑いがある場合、直ちに医院に報告しなければならない。

6.従業員は、同居の家族又は同居人が伝染性の疾病にかかり若しくはその疑いのある場合又は住居付近において伝染性の疾病が発生した場合、直ちに医院に届け出て必要な指示を受けなければならない。

次回は、「病者に対する就業禁止」について解説をします。

2023年7月12日水曜日

 

 

235-20230712

今回も、「健康診断」について解説します。

(解説)

6 第5項は、定期健康診断及び再検査以外の健康診断(結果報告を含む)について規定しています。このような法定外の健康診断については、従業員の受診義務が問題になることがあります。判例は、就業規則等の規定に基づいて、使用者指定病院の精密検査を命じられた従業員がこれを拒否した事案について、精密検査が従業員の病気治癒という目的に照らして合理的で相当な内容のものであれば、受診の自由や医師選択の自由を理由に受診を拒否することは許されないと判示しています(最高裁 昭和61年)。

次回は、「病者に対する就業禁止等」に関する条文を考えます。

2023年7月5日水曜日

 

234-20230705

今回も、「健康診断」について解説します。

(解説)

5 第4項は、定期健康診断の結果に異常の所見(たとえば、再検査や精密検査を要する旨の所見)がみられた従業員が、再検査を受診せず又は受診してもその結果を報告しない場合は、医院は当該従業員の就業を拒否できるとしています。従業員は、労働契約に基づき健康な状態で就業する義務があります。特に、歯科医院の場合は患者さんに対する影響を避けなければなりませんから、当該従業員の就業を拒否できることには合理的な理由があるといえます。

次回も「健康診断」の解説をします。