2023年4月19日水曜日

 

227-20230419

今回も従業員に対する「損害賠償」の請求について解説します。

(解説)

5 医院が従業員に支払うべき賃金から損害賠償額(損害金)を天引き(相殺)できるかという問題があります。労働基準法は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(労働基準法24条1項)と定めていますから、賃金と損害賠償額(損害金)を相殺することは、この賃金の全額払の原則に違反して許されません(関西精機事件:最高裁昭和31年判決)。それでは、従業員の自由な意思に基づいて、医院と従業員との合意によって相殺を行なうことはどうでしょうか?私は、損害賠償責任の有無やその程度、合意に至った経緯、従業員の退職引留め手段となっているか否か等によっては、相殺の効力が否定される場合があると考えています。相殺を安易に行なうと労使の紛争になりやすいので、社会保険労務士等に相談されることをお薦めします。

次回は「安全衛生の義務」に関する条文を考えます。

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