226-20230412
今回も従業員に対する「損害賠償」の請求について解説します。
(解説)
4 従業員の業務遂行上の過失(不注意・ミス)によって医院に損害が発生した場合は、損害の公平な負担や信義則の観点から、従業員の責任が制限されます。裁判例では、従業員に過失があっても故意や重大な過失が認められない場合には、損害賠償請求(第224回2の①参照)や求償請求(同2の②参照)が認められないケースがあります。たとえば「エーディーディー事件(京都地裁判決
平成23年)」は、「被用者においてそれについて故意又は重過失があったとは証拠上認められないこと、使用者が損害であると主張する売上減少、ノルマ未達などは、ある程度予想できるところであり、報償責任・危険責任の観点から本来的に使用者が負担すべきリスクであると考えられること、使用者の主張する損害額は2,000万円を超えるものであり、被用者の受領してきた賃金額に比しあまりにも高額であり」、そのような「ことなどからすると、使用者が主張するような損害は、結局は取引関係にある企業同士で通常に有り得るトラブルなのであって、それを労働者個人に負担させることは相当ではなく、使用者の損害賠償請求は認められないというべきである。」と判示しています。
次回も引続き「損害賠償」について考えます。
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