214-20221228
今回は、弁明の機会に関する条文を作成します。
第〇条(弁明の機会)
諭旨解雇又は懲戒解雇に処する場合には、原則として事前に当該従業員に弁明の機会を与える。
次回は、「弁明の機会」について解説をします。
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213-20221221
今回も「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説します。
(解説)
3 懲戒処分としての「出勤停止」については前回解説で復習しました。他方「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」は懲戒処分ではありません。これは、諭旨解雇事由又は懲戒解雇事由に該当するような重大な非違行為が疑われる場合に、十分な事実関係の調査を行なうために従業員の労務の提供を拒否する(出勤を拒否する)ことをいいます。
4 諭旨解雇又は懲戒解雇の前提となる非違行為を十分に調査せずに処分するのは、後にその有効性が争われたときに困ることになるので、これは必要な労務管理上の措置であるといえます。したがって、この就業規則では、このような出勤拒否の措置を就業規則に明示して労働契約の内容としました。
5 この就業規則では、出社拒否期間中の賃金について無給と定めています。使用者が従業員の労務の提供を拒否した場合、その期間中に賃金を支払う義務があるかどうかが問題になります。従業員の行為が諭旨解雇又は懲戒解雇に該当するような重大な非違行為の疑いがあり、かつ十分な事実関係の調査を行なうために労務管理上必要な措置であるという特段の理由がある場合を考えてみましょう。このような場合は、当該従業員の労務提供を拒否することは使用者の責めに帰すべき事由ではなく、従業員の責めに帰すべき事由であるから、使用者に賃金支払義務はないと考えられます。
6 「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」については、状況に応じて具体的に判断する必要がありますから、社会保険労務士などの専門家に相談することをお薦めします。
次回は、諭旨解雇又は懲戒解雇に処する場合の「弁明の機会」に関する条文を考えます。
212-20221207
今回は「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説します。
(解説)
1 「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説する前に、前に解説した{懲戒処分としての「出勤停止」}について復習しておく必要があります。懲戒処分としての「出勤停止」について、第190回で次のように解説しています。
2 この就業規則は「出勤停止」について、「始末書を提出させて将来を戒めるとともに7労働日以内の期間を定めて出勤を停止し、その間の賃金を支給しない」と規定しています。出勤停止期間中は賃金が支給されず、勤務年数にも算入されないので、出勤停止は従業員にとって過酷な処分といえるでしょう。したがって、出勤停止処分は、非違行為に対して何度も注意や警告を発したにもかかわらず、従業員がその態度を改めなかった場合に限って選択すべきであると考えます。歯科医院では、いきなり出勤停止処分を選択せずに、とりあえず自宅待機命令を発するのが現実的かもしれません。自宅待機命令は、たとえば歯科衛生士が非違行為を行なった場合に、その懲戒処分を決定するまでの間、あるいは他の歯科衛生士や歯科助手に対する悪影響を避けるために、院長が暫定的に当該歯科衛生士に対して就労を禁止する措置のことをいいます。自宅待機期間中の賃金が支払われますから、出勤停止処分とは異なります。院長は、就業規則上の根拠や手続を考慮せずに、日常の指揮命令権を行使して自宅待機命令を発することができます。当該歯科衛生士が反省すれば自宅待機だけで目的を達することができますし、そうでない場合は改めて出勤停止処分をすることになるでしょう。その場合も二重処分禁止には違反しません(以上第190回参照)。
次回も引続き「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説します。