202-20220914
今回は「職場外の非行行為により医院の名誉・信用を損ない、もしくは医院に損害を及ぼし、又は職場秩序を乱した場合」について解説します。
(解説)
7 この就業規則では、「職場外の非行行為により医院の名誉・信用を損ない、もしくは医院に損害を及ぼし、又は職場秩序を乱した場合」はその情状に応じ、けん責、減給、出勤停止又は降職・降格に処すると規定しています。職場外の非行行為には、①犯罪行為、②医院の批判、③内部告発、④医院の秘密の漏洩、⑤競合行為、⑥職場外の言論活動などが考えられます。そもそも懲戒処分の対象となる行為は、職場内における就業時間内の行為に限られるべきです。ですから、①から⑥のような職場外かつ就業時間外の非行行為は私生活上の行為なので、原則として懲戒処分の対象にはならないはずです。しかし、従業員は信義則のうえで、医院の名誉・信用を損なわない義務や医院に損害を及ぼさない義務、職場秩序を乱さない義務等を負っています。したがって、従業員の①から⑥のような職場外かつ就業時間外の非行行為が、医院の名誉・信用を損ない、医院に損害を及ぼし、職場秩序を乱す結果となるような場合には、懲戒処分の対象となり得ます。
8 歯科医院では、④医院の秘密の漏洩が考えられます。業種は異なりますが、重大な企業秘密の漏洩は、従業員の誠実義務違反、守秘義務違反であって、それが同時に企業業績に打撃を与えるなど企業秩序を侵害した場合は懲戒処分が相当であると判示した裁判例があります(古河鉱業事件・東京高裁昭和55年)。ただし、①から⑥のような職場外かつ就業時間外の行為を懲戒処分とすることは、私生活の自由とも抵触するので、その懲戒事由該当性はかなり慎重に判断する必要があります。社会保険労務士にご相談されることをお勧めいたします。
次回は「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」に関する条文を考えます。
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