2022年8月10日水曜日

 

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今回から「けん責、減給、出勤停止及び降職・降格の事由」について解説します。けん責、減給、出勤停止及び降職・降格の事由は多岐にわたるので、そのうちの主要な事由について解説を加えます。

(解説)

1 歯科医院において院長が歯科衛生士等の従業員に、けん責、減給、出勤停止及び降職・降格等の懲戒権を行使できるのは、従業員の行為が単なる労働義務違反(債務不履行)にとどまらず、職場の秩序を現実に侵害した場合又は侵害の実質的危険が考えられる場合です。

2 「出退勤の遵守事項」に違反した場合や「欠勤、遅刻、早退、私用外出の遵守事項」に違反した場合を考えてみましょう(48回「出退勤」、50回「欠勤、遅刻、早退、私用外出」、52回「私傷病欠勤と医師の診断」、54回「無断欠勤」参照)。これらの行為は、それ自体としては単なる労働義務違反(債務不履行)なので、これらの行為がけん責、減給、出勤停止及び降職・降格の対象になるのは、医院の業務に具体的な支障を及ぼし、他の歯科衛生士などに著しい迷惑を与えるなど、懲戒を行なうのに相応しいレベルにまで達している場合に限られます。

3 歯科医院は通常予約制を採用しているので、正当な理由がなく頻繁に無断欠勤をされると医院は大変困ります。無断欠勤はそれ自体は労働義務違反(債務不履行)ですが、再三の注意・指導にもかかわらず改善の見込みがなく、かつ、人事配置に支障を及ぼすようなレベルに至ったときは、降職・降格の懲戒事由に該当すると考えます。

次回も引続き「けん責、減給、出勤停止及び降職・降格の事由」について解説します。

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