173-20211117
今回も引き続き「普通解雇」について解説します。
(解説)
16 普通解雇は、雇用契約で約束した内容の(=債務の本旨にしたがった)労務の提供ができなくなった(=債務不履行となった)ために雇用契約を終了させるものです。
17 この就業規則の普通解雇事由をひとつひとつ解説してゆきましょう。第1に「身体又は精神の傷病等により業務に耐えられないと認められたとき」は普通解雇すると規定しています。従業員の健康状態が悪化して労働能力が低下することは、解雇事由のひとつになりす。しかし、健康状態の悪化が直ちに解雇事由となるわけではなく、それが債務の本旨にしたがった労務の提供を期待できない程度に重大なものであることが必要です。そのポイントは、①現在就労している業務が本当に就労困難なのかどうか慎重に判断すること。②現在の業務が就労困難だとしても、雇用契約上就労可能な軽易業務があれば、使用者はその業務を提供することによって解雇を回避するよう努力する義務(解雇回避努力義務)を負い、それをしないで解雇した場合は合理的理由を否定されること。③従業員の能力・適性、職務内容、事業規模等を勘案して、使用者に解雇回避措置を期待することが客観的にみて困難な場合は、解雇は正当とされること。歯科医院では、②が見落としやすいので注意が必要です。
18 業務外傷病(私傷病)について休職制度がある場合、休職制度は解雇を猶予する趣旨で設けられているものなので、これを利用させずに直ちに解雇するのは解雇回避努力義務に違反し、その解雇は合理的理由を否定されます。小規模の歯科医院では、歯科衛生士に軽易業務(17の②)を提供することが容易ではなく、かといって直ちに解雇することは避けたいという場合に、この休職制度は利用価値があります。
次回は、第2の「普通解雇事由」について解説します。
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