2021年11月4日木曜日

 

171-20211104

今回も引き続き「普通解雇」について解説します。

(解説)

12 「解雇権濫用法理」によって解雇が制限される場合があります。歯科医院のケースではありませんが、就業規則の解雇事由に該当する場合であっても、使用者の解雇権の行使が「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」とした裁判例があります(「日本食塩事件」最高裁判決)。また、「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときは、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるというべきである」と述べて解雇権濫用法理の「相当性の原則」を明らかにした裁判例もあります(「高知放送事件」最高裁判決)。

13 労働契約法16条(「解雇は、客観的に合理的な事由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」)は、12で述べたような解雇権濫用法理を明文化したものです。歯科医院でも、歯科衛生士、歯科助手、歯科受付などの従業員を解雇することは、たとえ就業規則に記載している解雇事由に該当する場合であっても、かなり難しいと考えなければなりません。

 

次回も「普通解雇」の解説をします。

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