2021年6月16日水曜日

 

154-20210616

今回も引続き「合意退職」について解説します。

(解説)

4 合意退職の場合、従業員はその退職の意思表示を撤回できるかどうかについて触れておく必要があります。1で述べたように、合意退職の効力は従業員(たとえば歯科衛生士)が退職の申込みを行い、医院(たとえば院長)がこれを承諾した時点で発生しますから、医院(たとえば院長)が承諾するまでの間は原則として意思表示を撤回することができることになります。問題になるのは、比較的大きな規模の歯科医院で、院長のほかに「事務長」等を置いている場合です。事務長が退職承認の最終決裁権をもっている場合は、当該事務長が承諾すれば合意退職が成立します。しかし、事務長が退職承認の最終決裁権をもっていない場合は、院長が承諾した時点で合意退職の効力が発生しますから、院長の承諾があるまでは従業員の退職の意思表示は撤回できることになります。業種は異なりますが、同旨の判例が多数あります。

 

5 退職日が決定したときは、従業員に「退職届」を提出させます。2で述べたように、退職の意思表示は、必ずしも退職願(退職届)のような文書でなくても口頭やメールでもかまいませんが、それだけに退職の意思表示をめぐってはトラブルになる可能性も高いのです。トラブルを防止するためにも、最終的に退職日が決まった段階で必ず「退職届」を提出させるようにします。

 

次回は、「辞職」に関する条文を作成します。

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