156-20210629
今回は、「辞職」について解説します。
(解説)
1 辞職とは、従業員が一方的に雇用契約を解約することで、一方的退職ともいいます。民法によれば、期間の定めのない雇用契約では、従業員は2週間の予告期間を置けば、「いつでも」雇用契約を解約することができます(民法627条1項<当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する>)。この「いつでも」の意味は、「どのような理由があっても解約できる」ということであり、民法627条1項は、従業員に対して「退職の自由」を保障した条文(強行法規)ということになります。さらに、退職の自由は、憲法上の職業選択の自由(憲法22条1項<何人も、公共の福祉に反しない限り、・・・職業選択の自由を有する>)を支える関係にあり、退職の自由を伴わない職業選択の自由は無意味なものになります。なお、退職に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項とされているので(労働基準法89条3号)、必ず就業規則に記載する必要があります。
2 歯科医院の従業員(歯科衛生士、歯科受付、歯科助手、歯科技工士)の多くは期間の定めのない雇用契約を締結していると考えられます。ですから、この就業規則では、従業員が退職の届出をしたにもかかわらず医院(院長)が退職を承諾しない場合は、雇用契約は「退職の届出を行った日から2週間を経過することによって終了する」こととしました。
次回も引続き「辞職」の解説をします。