2016年6月1日水曜日


13-20160601

今回は、歯科医院の従業員の「採用選考のための提出書類」の条文を作成し、その解説をします。

第〇条(採用選考のための提出書類)
1 医院は、正社員として就職を希望する者に対して、採用選考のための次の書類を提出させる。但し、その一部の提出を求めないことがある。
①履歴書(医院指定の書式で、かつ自筆のものに限る)
②写真(3か月以内に撮影したもの)
③学校の卒業証明書又は卒業見込証明書及び学校成績表
④医院の指定する医師の発行する健康診断書
⑤その他医院の指示する書類
2 医院は、前項に基づき提出された書類については、提出後6か月以内に返却ないし焼却する。

(解説)
1 採用した人に対して提出を求める書類と、就職希望者に対する採用選考のための提出書類とは、区別して規定したほうがいいでしょう。

2 労働契約法16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されており、裁判所の判例でも解雇は厳しく制限されています。
特に正社員として採用した場合は、たとえその従業員に技術的若しくは患者さんに対する接遇上の問題があったとしても、それだけで解雇することは容易ではありません。ですから、採用選考の際、技術のレベルが明らかに低いと認められる人、患者さんとのコミュニケーションが難しそうな人、その他問題がありそうな人は採用しないことが院長の労務管理上の負担を軽減することになります。

3 多くの歯科医院では、DHの採用難という事情もあって、採用選考がとかく安易に行われる傾向があります。医院が求める有能な人材を採用するには、歯科医院の事情に精通した社会保険労務士の視点も取り入れて、採用選考の方法を工夫しなければならない時期にきているといえるでしょう。

次回は、「採用時の提出書類」についての条文を作成し、その解説をします。


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