2016年9月22日木曜日


18-20160922

今回は、歯科医院の従業員の「採用の取消」についての条文を作成し、その解説をします。

第〇条(採用の取消)

採用された者が、経歴を偽り又は虚偽の申告や陳述をしたことが明らかになった場合は、その者の採用を取り消す。但し、この規定は経歴詐称に関する懲戒解雇規定の適用を排除しない。

(解説)

1 採用後間もない時期に、DHの資格や経験年数等歯科の業務遂行に重大な影響を与えるような経歴の詐称や虚偽の申告・陳述が明らかになった場合、その者を解雇することもできますが、それよりも採用そのものを取り消すほうが労使双方にとってメリットがあると考えられる場合があります。このような場合に、労使双方の合意によって採用の取消ができるようにしたのがこの規定です(本文)。

2 一般的に経歴詐称を理由とする懲戒解雇は有効とされていますから、医院は経歴詐称を理由として懲戒解雇ができることを注意的に規定しました(但書)。

次回は、「試用期間」についての条文を作ります。


2016年7月15日金曜日

17-20160715

今回は、歯科医院の従業員の身元保証に関する条文の解説をします。

(解説)
1 身元保証には、①採用された者が従業員としての適格性を有することを保障する機能(人物保障機能)と、②従業員が医院に対して損害を発生させたときはその損害を賠償する機能(損害賠償機能)があります。

近年、メンタルな理由によって業務の遂行に支障をきたす労働者が増加する傾向にありますから、これに対処するためには、従業員に人物保障機能を主な内容とする「身元保証書」の提出を求めることが適切だと思います。

2 従業員が、就業に耐えられないような精神疾患に罹患したときは、当該従業員の休職・復職及び退職等について、身元保証人と冷静な話し合いによって解決することが必要になります。
円満な解決に導くためには、社会保険労務士にアドバイスを求めて話し合いに臨むことをお勧めします。

3 損害を賠償することを約した身元保証契約の有効期間は、期間を定めなかった場合には3年(身元保証に関する法律1条)、期間を定める場合には5年を上限とし、これを更新する場合には、更新のときから5年を超えてはならないと定められています(同法2条)。

なお、裁判所は自動更新の特約を認めていないので(札幌高裁判決 昭和52.8.24)、更新が必要なときは、身元保証契約の期間満了時に個別の同意を得るようにしましょう。

次回は、採用の取消に関する条文を作成し、その解説をします。

2016年7月2日土曜日

16-20160702

今回は、歯科医院が従業員を採用したときの身元保証に関する条文を作成します。

第〇条(身元保証)
1 身元保証人は独立して生計を営む親又はこれに代わる親族とする。但し、該当する者がいないときは、医院が認めた者を身元保証人とすることができる。

2 身元保証の期間は5年間とし、医院が必要と認めた場合は、身元保証の期間の更新を求めることができる。

3 身元保証人が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、直ちに新たな身元保証人を届け出なければならない。
①死亡し又は行方不明となった場合
②破産した場合
③その他医院が身元保証人を不適当と認めた場合

次回は、身元保証に関する条文の解説をします。


2016年6月16日木曜日


15-20160616

今回は、歯科医院の従業員を採用するときの提出書類に関する条文の解説をします。

(解説)
1 そもそも採用内定者に就業規則が適用されるかという問題があります。
最高裁は、採用内定通知をもって労働契約(始期付解約権留保付労働契約)が成立するとしていますから(大日本印刷事件<最高裁判決 昭和54.7.20>、電電公社近畿電報電話局事件<最高裁判決 昭和55.5.30>)、採用内定者にも就業規則の一部を適用することができると考えてよいでしょう。
ですから、採用内定者に対して、第1項の各種書類の提出を義務付けることに何ら問題はありません。

2 誓約書は、就業規則の内容を十分に説明したうえで提出させましょう。
私は、歯科医院に採用された方(採用内定者を含む)に対してオリエンテーションを実施し、そのあとに誓約書を提出していただいています。

3 新卒者と中途採用者とでは提出を求める書類が異なりますから、1項但書のように弾力的な運用ができるようにした方がいいでしょう。

4 採用時に提出を求めた書類の内容に変更があったときは、通勤手当、家族手当、扶養控除等に影響しますから、「2週間以内に」というように期限を明確にして、かつ文書で届出させることが大切です。

次回は、身元保証に関する条文を作成します。

2016年6月6日月曜日

14-20160606

今回は、歯科医院の従業員を採用するときの提出書類に関する条文を作成します。

第〇条(採用時の提出書類)
1.採用された者(採用内定者を含む)は、医院が指定した日までに次の書類を提出しなければならない。但し、その一部の提出を求めないことがある。
①誓約書
②身元保証書
③住民票記載事項証明書
④雇用保険被保険者証および年金手帳
⑤その他医院の指示する書類

2.前項の提出書類の記載事項に変動があったときは、変動があった日から2週間以内に文書で届け出なければならない。

次回は、歯科医院の従業員を採用するときの提出書類に関する条文の解説をします。


2016年6月1日水曜日


13-20160601

今回は、歯科医院の従業員の「採用選考のための提出書類」の条文を作成し、その解説をします。

第〇条(採用選考のための提出書類)
1 医院は、正社員として就職を希望する者に対して、採用選考のための次の書類を提出させる。但し、その一部の提出を求めないことがある。
①履歴書(医院指定の書式で、かつ自筆のものに限る)
②写真(3か月以内に撮影したもの)
③学校の卒業証明書又は卒業見込証明書及び学校成績表
④医院の指定する医師の発行する健康診断書
⑤その他医院の指示する書類
2 医院は、前項に基づき提出された書類については、提出後6か月以内に返却ないし焼却する。

(解説)
1 採用した人に対して提出を求める書類と、就職希望者に対する採用選考のための提出書類とは、区別して規定したほうがいいでしょう。

2 労働契約法16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されており、裁判所の判例でも解雇は厳しく制限されています。
特に正社員として採用した場合は、たとえその従業員に技術的若しくは患者さんに対する接遇上の問題があったとしても、それだけで解雇することは容易ではありません。ですから、採用選考の際、技術のレベルが明らかに低いと認められる人、患者さんとのコミュニケーションが難しそうな人、その他問題がありそうな人は採用しないことが院長の労務管理上の負担を軽減することになります。

3 多くの歯科医院では、DHの採用難という事情もあって、採用選考がとかく安易に行われる傾向があります。医院が求める有能な人材を採用するには、歯科医院の事情に精通した社会保険労務士の視点も取り入れて、採用選考の方法を工夫しなければならない時期にきているといえるでしょう。

次回は、「採用時の提出書類」についての条文を作成し、その解説をします。


2016年5月26日木曜日

12-20160526

今回は、歯科医院の従業員の「採用の手続」についての条文を作成し、その解説をします。

第〇条(採用の手続)
医院は、正社員として就職を希望する者について、書類選考、採用面接及び筆記試験等の選考手続きを経て採用者を決定する。

(解説)
1 就業規則には、正社員の採用手続きや採用基準を具体的に定めて、パートタイマーとの違いを明確にしておくことが大切です。 パートタイマーの選考手続きは、面接だけにとどめるのが適切でしょう。

2 採用手続きがずさんな歯科医院が多く見受けられます。特に医院の基幹的な労働力である正社員DHには一定の待遇を保障しなければならないのですから、技術的な能力や接遇の能力等を十分見分けられるような選考方法を工夫すべきです。
そうすれば、おのずからパートタイマーとの違いが明確になります。採用手続きや採用基準の違いは、雇用形態の区分の出発点ですから、労務管理上とても重要です。

次回は、「採用選考のための提出書類」についての条文を作りその解説をします。