2022年11月30日水曜日

 

211-20221130

今回は、「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」に関する条文を作成します。

第〇条(諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置)

1.従業員の行為が諭旨解雇若しくは懲戒解雇事由に該当し又はそのおそれがある場合、調査又は確認の作業が完了するまでの間、出勤を拒否することがある。

2.前項の出勤拒否の期間は賃金を支給しない。 

次回は、「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出勤拒否の措置」について解説をします。

2022年11月23日水曜日

 

210-20221123

今回も「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」について解説します。

(解説)

6 諭旨解雇及び懲戒解雇の事由は多岐にわたるので、そのうちの主要な事由について解説を加えます。今回は不正行為です。この就業規則では、①「医院の金銭又は物品を窃取、詐欺又は横領した場合」、②「自己又は第三者のために金品の供与を受け、不正の利益を得た場合」、③「自己又は第三者のために従業員としての地位を利用し、医院に損害を与えた場合」のような規定があります。従業員は、医院に対して誠実に職務に専念する義務や職場秩序を遵守する義務を負っていますから、①②③の行為はこのような義務に違反し、医院に経済的損害を与えることになるので、諭旨解雇、懲戒解雇などの重い処分が肯定されます。しかし、金銭収受が些少な額であるとか、医院に対する経済的損害が軽微であると推認される場合は、諭旨解雇、懲戒解雇が相当性を欠くものとして無効とされる場合があるので注意が必要です。

次回は「諭旨解雇又は懲戒解雇前の出社拒否」に関する条文を考えます。

2022年11月16日水曜日

 

209-20221116

今回も「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」について解説します。前回の続きです。

(解説)

5 歯科医院において職歴、経歴の詐称は、給与等の労働条件に関する院長の判断に影響を与えるだけでなく、たとえば歯科衛生士に治療行為を指示する際の判断を誤らせることにもなるので、諭旨解雇や懲戒解雇の事由になる可能性があります。転職前の雇用先での職務経験(コンピュータプログラマーとしての能力)を偽ったケースにおいて懲戒解雇を有効とした裁判例(グラバス事件<東京地裁平成16年>)があります。

次回も「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」について解説します。

2022年11月2日水曜日

 

208-20221102

今回も「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」について解説します。

(解説)

3 諭旨解雇及び懲戒解雇の事由は多岐にわたるので、そのうちの主要な事由について解説を加えます。今回は経歴詐称です。この就業規則では、「労働契約締結時に最終学歴、職歴、経歴等を偽り、医院の判断を誤らせた場合」と規定しています。

4 裁判例は、詐称された経歴等は「重要な経歴の詐称」であることを要するとしています。重要な経歴等の詐称にあたるものは、最終学歴、職歴、犯罪歴の詐称ですが、それが懲戒事由に該当するかどうかは、偽った経歴等の内容、従業員の職種などに即して具体的に判断されます。この就業規則では、犯罪歴を規定していませんが、犯罪歴の詐称があった場合は、この就業規則に包括規定として「その他前各号に準じる程度の不都合な行為があった場合」と規定されているので、この規定によって対応することになります。

次回も「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」について解説します。