179-20220119
今回も引き続き「整理解雇」について解説します。
(解説)
31 人員削減の必要性について、最近の裁判例は、人員削減をしなければ倒産必至の状況であることまでは要求せず、「高度の経営上の必要性」があれば足りるとして、使用者の経営判断を尊重する傾向にあります。歯科医院の場合、歯科衛生士等の従業員を新規募集するなど人員削減と矛盾するようなことを行なわない限り、人員削減の必要性が肯定されるものと考えます。
32 解雇回避努力義務については、使用者は、従業員にとって解雇よりも打撃の少ない措置(歯科医院の場合、新規採用の停止、昇給の停止、賞与の減額、残業の削減、有期契約従業員の雇止めなど)を講じる義務があるとされています。コロナ禍を理由とする有期契約従業員の整理解雇について、従業員を休業させれば6割の休業手当の支給で済み、しかも「雇用調整助成金」を申請すれば支給した休業手当の大半が補填されるのに、これを申請しなかった場合は、解雇回避努力義務を尽くしたとはいえないとした裁判例があります(仙台地裁決定・令和2.8.21)。
次回も「整理解雇」について解説します。
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