176-20211213
今回も引き続き「普通解雇」について解説します。
(解説)
25 この就業規則の普通解雇事由の第4は、「協調性を欠き、他の従業員の業務遂行に悪影響を及ぼすとき」となっています。従業員は、職場で上司や同僚と協調して労務を提供することが求められています。ですから、自分勝手な行動によって業務上の混乱を招き、指導にも従わず、改善がみられない場合や、他の従業員の負担を増大させたり、業務に著しい支障を生じさせているような場合は解雇の合理的な理由となりえます。特に歯科医療の場合は、院長を中心に、同僚の歯科衛生士や歯科助手、歯科受付、歯科技工士などとのチーム医療が円滑に運営されないと、患者さんの健康に影響を及ぼすことになりますから、一人一人が協調性に配慮して行動することが求められます。
26 歯科医院の例ではありませんが、参考になる裁判例を紹介します。中途採用した従業員が、同僚らに対して日常的に高圧的、攻撃的な態度をとってトラブルを発生させ、ネットのサイトで業務と関係のないことを行なうなどして職務の遂行に重大な支障を生じさせました。何度も面談を実施し、注意、けん責処分による改善の機会を与えたにもかかわらず言動が変わらなかったことから、就業規則の解雇事由(「協調性を欠き、他の従業員の職務に支障をきたすとき」)に該当するとして解雇を有効とした裁判例(メルセデスベンツファイナンス事件)があります。
次回は、第5の「普通解雇事由」について解説します。
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