175-20211208
今回も引き続き「普通解雇」について解説します。
(解説)
22 この就業規則の普通解雇事由の第3は、「勤務態度が不良で、注意しても改善しないとき」となっています。勤務態度が不良とは、①無断欠勤、②正当な理由がない遅刻や早退、③勤務状況の不良などのいわゆる勤務懈怠(労働義務違反=債務不履行)をいいます。このような労働義務違反の程度が重大で、雇用の継続を期待しがたい程度に達している場合に解雇事由に該当することになります。
23 ①及び②のような労働義務違反が解雇理由となるのは、当該行為が反複・継続的に行なわれ、使用者の注意・指導によっても改善の見込みがない場合に限られます。しかし、当該行為が反復・継続的でなく、回数が少ない場合であっても、それが業務に重大な影響を及ぼし、使用者に損害を与えるような場合には、解雇の合理的な理由となります。歯科医院の場合には予約制をとっているので、たとえば歯科衛生士が無断欠勤や遅刻をくりかえし、院長が注意しても改善されない場合には医院の業務に支障を及ぼすといえるので、解雇の合理的な理由になるでしょう。
24 ③は、従業員が外形的には業務に従事しているようにみえるものの、勤務状況や勤務態度をみると、実質的に適正な就労とはいえない場合をいいます。従業員は、業務に必要な注意を払って誠実に労働する義務を負っていますから、外形上は労働義務を履行しているようにみえても、実質的にその内容が劣悪であれば重大な労働義務違反とされ、解雇されてもやむを得ないこととなります。業種は異なりますが、配置換えに不満をいだき、上司が指示した仕事を行なわず、勤務成績が著しく不良で、再三指導・教育しても勤務態度に改善がみられない従業員に対する懲戒解雇が有効とされた裁判例があります(日本消費者協会事件<東京地裁平成5年>)。
次回は、第4の「普通解雇事由」について解説します。
0 件のコメント:
コメントを投稿