2021年10月27日水曜日

 

170-20211027

今回も引き続き「普通解雇」について解説します。

(解説)

11 「解雇事由」は就業規則の絶対的必要記載事項とされていますから、必ず就業規則に記載しなければなりません(労働基準法89条3号)。この規定が解雇を制限する機能をもつことになります。すなわち、就業規則に記載されていない事由に基づいて解雇することは、就業規則の適用を誤り、解雇権が存在しないのに解雇したものとして、その解雇は無効となります。解雇事由に該当しなくても、客観的に合理的な事由があれば解雇できるとする考え方もありますが、就業規則に根拠のないあやふやな理由で解雇したためにトラブルになった例を経験しているので、歯科医院に対しては解雇事由をしっかり記載するようにアドバイスしています。

次回も「普通解雇」の解説をします。

2021年10月13日水曜日

 

169-20211013

今回も引き続き「普通解雇」について解説します。

(解説)

9 解雇予告制度は、期間の定めのある雇用契約(有期雇用契約)を契約期間の途中で解約する場合にも適用されますが、次の①~④の臨時雇用の場合はその必要性が乏しいので、解雇予告制度は適用されません。但し、臨時雇用が常用雇用化したと考えられる場合(注:で示した場合)は、解雇予告制度が適用されるので注意が必要です。すなわち、①日々雇い入れられる従業員(注:1か月を超えて引続き使用される場合を除く)、②2か月以内の期間を定めて使用される従業員(注:その期間を超えて引続き使用される場合を除く)、③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される従業員(注:その期間を超えて引続き使用される場合を除く)、④試用期間中の従業員(注:14日を超えて引続き使用されるようになった場合を除く)などです。なお、①~③の臨時雇用契約を契約期間満了で雇止めする場合、期間満了は「解雇」ではないので、解雇予告制度は適用されません。

10 歯科医院で特に注意すべきは④の場合です。歯科医院では、採用した歯科衛生士等の「技術」や「接遇」が自院が求めるレベルに相応しいかどうかをみるために試用期間を設けていますが、その試用期間の途中であっても、14日を超えて使用している場合は、解雇予告が必要であることに注意が必要です。

 

次回も「普通解雇」の解説をします。

2021年10月6日水曜日

 

168-20211006

今回も引き続き「普通解雇」について解説します。

(解説)

7 解雇予告制度についてもう少し解説を続けます。民法では、使用者は2週間の予告によって労働契約を解約できますが(民法6271項)、労働基準法は、労働者の再就職のことを考慮して、この予告期間を30日に延長し(労基法20条)、かつ、罰則をつけて(労基法1191号)これを使用者に義務づけています。つまり、解雇予告制度は、民法の規制を労働者保護のために修正した制度だということができます。

8 解雇予告制度は、解雇(使用者による労働契約の一方的解約)を対象としていますから、歯科衛生士、歯科助手、歯科受付などの従業員が辞職(一方的退職)した場合や、合意解約する場合には解雇予告制度は適用されません。このため、労働契約が解雇によって終了したのか、それとも辞職(一方的退職)・合意解約によって終了したのかが争われる場合があります。このような争いを避けるため、できるだけ文書(退職届、承諾通知書等)で雇用契約の終了原因を明らかにしておく必要があります。

 

次回も「普通解雇」の解説をします。