163-20210824
今回も引続き「退職までの職務精励義務」について解説します。
(解説)
2 退職が決まった歯科衛生士や歯科技工士が年次有給休暇(以下「年休」という)を請求した場合については少し考えておく必要があります。退職予定者の場合には、年休の残日数があっても退職してしまえば行使できません。行政解釈も、労働契約が終了した場合年休の権利は消滅すると解しています。このため、実際上、歯科衛生士や歯科技工士が退職しようとするとき、たとえば退職日は8月末日であるが年休の残日数が20日ある場合は、8月初旬頃まで出勤し、その後退職日まで年休の残日数を請求して継続して休むという場合が少なからずみられます。
3 退職前に残余年休の完全消化のみを目的とする年休の請求は、年休請求権の濫用であり信義則に反するため退職予定者には年休を与えないとする考え方もあります。しかし、業務多忙などの理由により、従業員の希望通りに年休を付与できない歯科医院が多いという現実に鑑みれば、たとえ残余年休の完全消化のみを目的とする年休の請求であっても、これを認めるほうが歯科医院の現状に合うとも考えられます。
次回も「退職までの職務精励義務」について解説します。
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