2021年8月31日火曜日

 

164-20210831

今回も引続き「退職までの職務精励義務」について解説します。

(解説)

4 退職前に相当な日数の年休を請求されると、患者さんへの対応や引継ぎなどに支障をきたす場合があります。このような場合は、本来は好ましいことではありませんが、年休の残日数の全部又は一部を買い上げる(「手当」として支給する)ことにして当該従業員の了解を得るということも考えてよいでしょう。歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士などの退職時に未消化分の年休がある場合に、その日数に応じて手当を支給することは違法にはならないと解されています。その手当の額については、原則として歯科医院の就業規則で定めている額(①平均賃金または②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金)を支払うべきであろうと考えます。

次回は「普通解雇」の条文を作ります。

2021年8月24日火曜日

163-20210824

今回も引続き「退職までの職務精励義務」について解説します。

(解説)

2 退職が決まった歯科衛生士や歯科技工士が年次有給休暇(以下「年休」という)を請求した場合については少し考えておく必要があります。退職予定者の場合には、年休の残日数があっても退職してしまえば行使できません。行政解釈も、労働契約が終了した場合年休の権利は消滅すると解しています。このため、実際上、歯科衛生士や歯科技工士が退職しようとするとき、たとえば退職日は8月末日であるが年休の残日数が20日ある場合は、8月初旬頃まで出勤し、その後退職日まで年休の残日数を請求して継続して休むという場合が少なからずみられます。

3 退職前に残余年休の完全消化のみを目的とする年休の請求は、年休請求権の濫用であり信義則に反するため退職予定者には年休を与えないとする考え方もあります。しかし、業務多忙などの理由により、従業員の希望通りに年休を付与できない歯科医院が多いという現実に鑑みれば、たとえ残余年休の完全消化のみを目的とする年休の請求であっても、これを認めるほうが歯科医院の現状に合うとも考えられます。

次回も「退職までの職務精励義務」について解説します。

2021年8月10日火曜日

 

162-20210810

今回は、「退職までの職務精励義務」について解説します。

(解説)

1 労働契約とは、労働者が使用者の指揮命令の下で労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを合意する契約です(労働契約法6条)。また、労働者及び使用者は、このような労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならないとされています(労働契約法3条4項)。したがって、歯科医院の場合、歯科衛生士や歯科技工士などの従業員は、退職日が決定しても実際に退職するまでは、労働契約に基づいて誠実に労務を提供しなければならないということになります。

 次回も引続き「退職までの職務精励義務」について解説します。

2021年8月3日火曜日

 「資料としてすぐに使える歯科就業規則の雛形」をご活用下さい。

 

労働条件に関する従業員の疑問や質問に対して、どのように説明したらいいものか困った経験はありませんか?

労働法の大改革である働き方関連法令が成立しました。その一部は歯科医院など中小規模の事業所に対しても、すでに2019年4月から適用されています。従来の就業規則や雇用契約を見直す必要はありませんか?

 この「雛形」は、院長が従業員の労働条件に関する疑問や質問に対して回答し、トラブルを避け、従来の就業規則や雇用契約を見直すための参考資料となることを目的に作成しました。

 従業員の採用から退職までの人事・労務管理に必要な条文を網羅し、かつ参考にしたい条項を容易に検索できるように目次をつけたので、参考資料として大いに活用していただけるものと思います。

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 詳しくは、ホームページをご覧ください。

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161-20210803

今回は、「退職までの職務精励義務」に関する条文を作成します。

第〇条(退職までの職務精励義務)

従業員は、退職が決定した後でも退職に至るまでは、職務に精励しなければならない。

 

次回は、「退職までの職務精励義務」の解説をします。