2019年10月30日水曜日


108-20191030

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
11  5項で、出勤率の算定にあたっては、次の期間は出勤したものとして取扱うこととしています(前述の解説7及び8を参照してください)。
労働基準法398項及び行政通達もそのような取扱になっています。
  年次有給休暇を取得した期間
  産前産後の休業期間
  育児介護休業法における育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇を取得した期間
  業務上の傷病による休業期間

12 第6項は、未消化の年次有給休暇の繰越を認める規定です。
年次有給休暇請求権も、労働基準法115条の定める2年の消滅時効にかかるとする行政通達や判例(国際協力事業団事件・東京地方裁判所平成9年)がありますから、この就業規則でも未消化の年次有給休暇は翌年度に限り繰り越すことができるとしました。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。

2019年10月17日木曜日


107-20191017

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
11  第3項は、年次有給休暇の事前申請を定めています。
歯科医院の多くは事前予約制を採用していますから、従業員が突然年次有給休暇を申請しても対応できない場合が多いでしょう。
そこで、この就業規則では、原則として最初の有給休暇日の3日前までに書面で届出ることにしています。
但し、院長が事前予約制で来院する患者さんの治療に支障がないと判断してその申請を承認した場合は、有給休暇を与えることにしました。

12 年次有給休暇は、前に述べたように、一定期間の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤率を満たせば、法律上当然に発生する従業員の権利です。
これについて労働基準法は「労働者の請求する時季に与えなければならない」(労働基準法39条5項本文)と定めています(これを従業員の「時季指定権」と言います)。
そこで、この就業規則では、第4項本文で「従業員が具体的時季を指定して請求した場合には、指定された時季に年次有給休暇を与える」ことにしています。

13 他方、労働基準法は「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」(労働基準法39条5項ただし書)と定めています(これを使用者の「時季変更権」と言います)。
そこで、この就業規則では、第4項ただし書で「指定された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、従業員の指定した時季を変更することができる」としました。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。





2019年10月2日水曜日


106-20191002

今回も「年次有給休暇」の解説をします。

(解説)
 第2項は、パートタイマー等の年次有給休暇の比例付与(以下、「比例付与」といいます)を定めたものです。
この就業規則は正社員を対象にしていますから、比例付与は本来「パートタイマー等就業規則」に定めるべきものですが、歯科医院では妊娠、出産、育児等の理由によって正社員からパートタイマーへ転換したり、育児休業終了後に職場復帰する際に再び正社員として就労するなどの例が多いことから、便宜上正社員の就業規則にも規定しました(歯科医院の多くはパートタイマーを雇用していますから「パートタイマー等就業規則」も必要です)。
パートタイマーとは、正社員よりも短い勤務時間で働いている(正社員よりも所定労働日数が少ない)従業員のことをいい、賃金が月給か時間給かには直接関係がないので注意が必要です。

10 比例付与の対象となるパートタイマー等とは次のような従業員です。
①週によって所定労働日数が定められている場合は、1週間の所定労働日数が4日以下の従業員(5日以上は比例付与から除外されることに注意)。
②週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合は、年間所定労働日数が216日(月18日)以下の従業員。
③所定労働日数が①、②であっても、1週間の所定労働時間が30時間以上の従業員については正社員と同じ日数の年次有給休暇を与えなければならないので、比例付与の対象から除外されます。

次回も「年次有給休暇」の解説をします。