72-20180515
今回は、割増賃金の具体的な計算方法を解説します。
(解説)
7 割増賃金を計算する場合の1時間当たりの単価(以下「時間単価」という)の計算方法は、労働基準法施行規則19条に定められています。
月給の従業員の場合は、月給を月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合は、1年間における1か月平均所定労働時間数)で除した金額がその従業員の時間単価です。
具体的には、[基本給+諸手当(家族手当、通勤手当などの除外手当を除く)]÷1年間の月平均所定労働時間数となります。
この計算式の「1年間の月平均所定労働時間数」は、[(365―年間所定休日数)×1日の所定労働時間]÷12です。
8 割増賃金の計算の基礎に入れなくてもよい賃金は、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤臨時に支払われた賃金、⑥賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、⑦住宅手当です。
以上の賃金以外の賃金は、すべて割増賃金の基礎となる賃金に入れなければなりません。なお、これらの賃金は、単に名称で判断するのではなく、当該手当・賃金が実質的にその性格に合致しているかどうかで判断します。
また、割増賃金の基礎となる賃金は、「通常の労働時間の賃金」ですから、時間外の労働に対する割増賃金、深夜労働割増賃金はこれに含まれません。
9 1日の所定労働時間が8時間、年間所定休日が120日(定休日105日、祝祭日など15日)、基本給15万円及び除外手当を除く諸手当5万円(月給20万円)の従業員の、1時間当たりの割増賃金単価は、次のようになります。
{ 20万円÷[(365日ー120日)× 8時間 ÷ 12か月]}×1.25 =1,531 円
次回は、「割増賃金に関するトラブル」の裁判例を紹介し、その解決方法を考えます。
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