2018年2月26日月曜日

63-20180226
今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

(解説)
7 1か月単位の変形労働時間を採用する場合、「1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条第1項の労働時間[労基法32条1項で定める40時間]を超えない定め」をしなければなりません(労働基準法32条の2第1項)。そこで、この就業規則の条文の第2項で、「前項の場合の所定労働時間は、1か月を平均して1週間当たり40時間以内とする」と規定しています。

8 「1か月を平均して1週間当たり40時間以内」とは、どのような意味でしょうか?具体的には、次の計算式によって、1か月における所定労働時間の合計が、法定労働時間の総枠の範囲内になければならないということです。

その計算式は、40×(1か月の暦日数÷7)=法定労働時間の総枠です。

9 前項の計算式から、1か月の所定労働時間の合計は、1か月31日の月は177時間、1か月30日の月は171時間、1か月28日の月は160時間となります。


次回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

2018年2月7日水曜日

62-20180207
今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

(解説)
4 就業規則は、使用者と労働者との労働契約の内容(労働条件)を定めたものです(労働契約法7条「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする<以下略>」)。
したがって、就業規則に「1か月単位の変形労働時間制」の定めをした場合は(本条第1項)、当該歯科医院の従業員にその労働時間制のもとで就労することを義務づけることができます。

5 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、まず「①対象となる労働者の範囲」を定めなければなりません。そこで、第1項で、歯科衛生士(DH)がその対象であることを定めています。

6 次に、「②変形期間」と「③変形期間の起算日」を定めます。変形期間は1か月以内であることが必要ですから、本条第1項では変形期間を「1か月」としました。起算日は、賃金計算期間の初日にした方が便利ですから、月末締めの医院では起算日を「毎月1日」とします。


次回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

2018年2月1日木曜日

61-20180201
今回は、「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

(解説)
1 1か月単位の変形労働時間制は、各種の変形労働時間制のなかで、実務上最も用いられている制度です。これは、各日ないし各週毎に労働時間の繁閑の差がある場合や、週休2日制を実施できないような場合に有効な制度です。歯科医院では、患者さんのニーズに応えるために、夜間や日曜日・祭日の診療を行うところが増えており、DHに対して1週間に4日の労働、3日の定休日を採用しているところが普通になりつつあります。

2 このような場合に、医院は、就業規則又は労使協定によって、1か月を平均して1週間あたりの労働時間が週の法定労働時間を超えない定めをした場合は、特定された週において1週の法定労働時間(原則40時間)を超えて労働させることができ、又は特定された日において1日の法定労働時間(原則8時間)を超えて労働させることができます(労働基準法32条の2)。

3 1か月単位の変形労働時間制を採用するには、就業規則に規定するか又は労使協定の締結・届出が必要です。実務上は、就業規則で定める場合が多いので、以下ではこれを前提にして解説することに致します。


次回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。