2023年7月12日水曜日

 

 

235-20230712

今回も、「健康診断」について解説します。

(解説)

6 第5項は、定期健康診断及び再検査以外の健康診断(結果報告を含む)について規定しています。このような法定外の健康診断については、従業員の受診義務が問題になることがあります。判例は、就業規則等の規定に基づいて、使用者指定病院の精密検査を命じられた従業員がこれを拒否した事案について、精密検査が従業員の病気治癒という目的に照らして合理的で相当な内容のものであれば、受診の自由や医師選択の自由を理由に受診を拒否することは許されないと判示しています(最高裁 昭和61年)。

次回は、「病者に対する就業禁止等」に関する条文を考えます。

2023年7月5日水曜日

 

234-20230705

今回も、「健康診断」について解説します。

(解説)

5 第4項は、定期健康診断の結果に異常の所見(たとえば、再検査や精密検査を要する旨の所見)がみられた従業員が、再検査を受診せず又は受診してもその結果を報告しない場合は、医院は当該従業員の就業を拒否できるとしています。従業員は、労働契約に基づき健康な状態で就業する義務があります。特に、歯科医院の場合は患者さんに対する影響を避けなければなりませんから、当該従業員の就業を拒否できることには合理的な理由があるといえます。

次回も「健康診断」の解説をします。

2023年6月28日水曜日

 

233-20230628

今回も、「健康診断」について解説します。

(解説)

3 第3項は、定期健康診断の結果に異常の所見(たとえば、再検査や精密検査を要する旨の所見)がみられた場合について、医院が再検査を命じることを前提に、従業員に対して医院が指定する医師による再検査の受診義務を定めたものです。従業員に異常の所見がみられたことを知りながら通常通りの業務を行なわせ、その結果従業員がたとえば死亡し又は労務不能になった場合には、医院は「安全配慮義務」違反を理由に損害賠償請求されることにもなりかねないので、注意が必要です。

4 安全配慮義務とは、“信義則に基づき、労務提供に伴う従業員の生命・身体への危険を未然に防止する義務”です。労働契約における安全配慮義務は、使用者(歯科医院)に対して広範でかつ積極的な作為義務(健康管理・安全教育・施設の整備点検・業務軽減など)を義務づけるものになっています。

次回も引続き「健康診断」について解説します。

2023年6月14日水曜日

 

232-20230614

今回は、「健康診断」について解説します。

(解説)

1 歯科医院(事業者)は、従業員に対して1年に1回、定期健康診断を行なわなければなりません(労働安全衛生法66条1項)。他方、従業員も、歯科医院が行なう健康診断を受診しなければなりません(同法66条5項本文)。そこで、この就業規則の第1項は、従業員に定期健康診断を義務づけています。なお、従業員は、歯科医院が指定した医師とは別の医師による健康診断を受ける「医師選択の自由」があります(同法66条5項但書)。これは、歯科医院が指定する医師が、たとえば院長の意を受けた診断結果を作成するおそれがあるとも限らないので、従業員に自分の信頼する医師による診断を受ける途を与えたものです。

2 第2項は、正当な理由なく定期健康診断を受診しない従業員に対して懲戒処分を行なうことがあると定めています。定期健康診断は歯科医院に法的に義務づけられているものですし、従業員の健康状態を正確に把握することは労務管理上きわめて重要であるからです。

次回も引続き「健康診断」について解説します。

2023年6月7日水曜日

 

231-20230607

今回は、健康診断に関する条文を作成します。

第〇条(健康診断)

1. 従業員は、毎年1回、医院の指定する医師による定期健康診断を受けなければならない。

2. 従業員が、正当な理由なく前項の定期健康診断を受診しない場合、第○条の規定により懲戒処分とすることがある。

3.従業員は、第1項に規定する定期健康診断の結果に異常の所見がある場合には、医院の指定する医師による再検査を受診し、その結果を医院に報告しなければならない。

4.従業員が、正当な理由なく前項の再検査を受診しない場合、又はその結果を報告しない場合には、医院は当該従業員の就業を拒否する場合がある。

5.医院は、第1項の健康診断及び第3項の再検査以外にも、随時従業員に対し健康診断の受診及びその結果の報告を命じることがある。この場合には、前項の規定を準用する。

6.第1項、第3項及び前項に定める健康診断に要する時間については、無給とする。

次回は、「健康診断」について解説をします。

2023年5月17日水曜日

 

230-20230517

今回も引続き「安全衛生の義務」について解説します。

(解説)

4 歯科医院では、患者さんの治療に用いた器具で誤って身体を刺して負傷したケース(業務上の事故による負傷)や業務遂行中の腰部への突発的な出来事によって生じた腰痛(業務上の疾病)などが散見されます。仕事のストレスと従業員自身の精神的脆弱性が相まって発症する「うつ病」などの精神障害にも注意が必要です。

医院は、安全・衛生に関する諸規則を作成し、従業員に対して教育を実施し、必要な諸々の措置・手段を講じるなど、職場における従業員の安全と健康を確保するために十分な配慮をする義務があります(労働契約法5条)。

5 医院が安全配慮義務を怠って従業員が被災した場合には、不法行為(民法709・715条)や債務不履行(民法415条)に基づく損害賠償責任を追及されることにもなりますので注意が必要です。

次回は「健康診断」に関する条文を考えます。

2023年5月10日水曜日

 

229-20230510

今回は、「安全衛生の義務」について解説します。

(解説)

1 本条第1項は医院が定める安全・衛生に関する諸規則を遵守して労働災害防止に努めることを従業員に義務づけ、第2項では従業員として特に遵守すべき安全・衛生上の事項を定めています。そして、第3項では実際に業務災害が発生した場合の対処方針を規定しています。

2 労働安全衛生法は、職場における従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています(労働安全衛生法1条)。この法律は、歯科医院の安全配慮義務(労働契約法5条<使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする>)の内容になりますから、歯科医院は労働安全衛生法を遵守する必要があります。

3 他方、歯科医院が労働安全衛生法遵守するにあたっては従業員の協力が不可欠です。ですから、従業員は、医院が実施する労働災害の防止に協力するよう努めなければなりません(労働安全衛生法4条)。

次回も引続き「安全衛生の義務」について解説します。