2023年3月8日水曜日

221-20230308

今回も引続き「懲戒の加重」について解説します。

(解説)

3 この就業規則では、懲戒を加重することができる5つの具体的な要件を規定しています。このうち「④過去に類似の非違行為を行なって懲戒処分を受けたことがあるとき」については少し注意することがあります。

4 初回の非違行為に対していきなり懲戒解雇や諭旨解雇のような重い処分を科すのではなく、まずは「けん責」や「出勤停止」などの軽い処分を行ない、その後同じような非違行為を行なった場合に重い処分を科す場合には二重処罰の禁止に抵触することになるので注意が必要です。

次回も「懲戒の加重」について解説します。

2023年3月1日水曜日

 220-20230301

今回は「懲戒の加重」について解説します。

(解説)

1 懲戒を加重する(重いレベルの懲戒処分を選択する)場合は、処分の相当性を慎重に検討する必要があります。218回で解説したように、どのような懲戒処分を選択するかは懲戒権者である使用者(院長)の裁量に属しますが、その処分は従業員の行為と処分とのバランス(相当性)が要求されます。

2 使用者(院長)がこの裁量判断を誤り、不当に重い処分を選択すれば、使用者の懲戒権の行使は、たとえ就業規則に定める懲戒事由に該当する事実がある場合でも、その処分が客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認できないときは、権利の濫用として無効になります(労働契約法15条)。

次回も引続き「懲戒の加重」について考えます。

2023年2月22日水曜日

 219-20230222

今回は、懲戒の加重に関する条文を作成します。

第〇条(懲戒の加重)

次の各号の事由に該当する場合には、その懲戒を加重する。

①   非違行為の動機もしくは態様がきわめて悪質であるとき又は非違行為の結果がきわめて重大であるとき。

②   非違行為を行なった従業員が管理又は監督等の役職者であるとき。

③   非違行為の医院に及ぼす影響が特に大きいとき。

④   過去に類似の非違行為を行なって懲戒処分を受けたことがあるとき。

⑤   同時に2以上の懲戒該当行為を行なっていたとき。

次回は、「懲戒の加重」について解説をします。

2023年2月15日水曜日

 218-20230215

今回は「懲戒の軽減」について解説します。

(解説)

1 どのような懲戒処分を選択するかは懲戒権者である使用者(院長)の裁量に属しますが、その処分は従業員の行為と処分とのバランスが要求されます。使用者(院長)がこの裁量判断を誤り、不当に重い処分を選択すれば、使用者の懲戒権の行使は、たとえ就業規則に定める懲戒事由に該当する事実がある場合でも、具体的事情(従業員の行為の態様・動機、業務に及ぼした影響、損害の程度、従業員の態度・情状・処分歴など)のもとで、その処分が客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認できないときは、権利の濫用として無効になります。

2 この就業規則では、上記の具体的な事情として特に「情状酌量の余地」がある場合、非違行為が発覚する前に申告するなど「改悛の情」が認められる場合は、懲戒を軽減し又は免除することができることとしました。

次回は「懲戒の加重」について考えます。

2023年2月8日水曜日

 217-20230208

今回は、懲戒の軽減に関する条文を作成します。

第〇条(懲戒の軽減)

情状酌量の余地があり又は非違行為が発覚する前に、医院に対して自主的に申告する等改悛の情が明らかに認められる場合は、懲戒を軽減し又は免除することがある。

次回は、「懲戒の軽減」について解説をします。

2023年1月25日水曜日

 216-20230125

今回も「弁明の機会」について解説します。

(解説)

3 就業規則に口頭又は文書による弁明の機会を付与することが定められているにもかかわらず、これを行なわずに懲戒解雇したのは重大な手続違反であり当該懲戒解雇は無効と判示した裁判例(千代田学園事件:東京高裁判決平成16年)があります。

4 就業規則がない歯科医院や就業規則があっても弁明の機会の付与についての規定がない歯科医院の場合はどうなるのでしょうか?「懲戒解雇」は、懲戒(制裁)として行なわれる解雇であり、懲戒の中で最も重い処分です。懲戒解雇された従業員は、働く職場と退職金請求権を失うだけでなく、不名誉な処分を受けたために再就職が困難になるという重大な不利益を被ります。「諭旨解雇」は、本人に反省が認められるなどの情状等を斟酌して、懲戒解雇を若干緩和した処分ですが、従業員を失職させる点で不利益を与えることに変わりはありません。したがって、懲戒解雇や諭旨解雇のような重い処分を行なう場合は、たとえ就業規則に弁明の機会の付与についての規定がない場合であっても、弁明の機会を付与することが必要だと考えます。同旨の裁判例があります(ビーアンドヴイ事件:東京地裁判決平成22年)。

次回は「懲戒の減軽」に関する条文を考えます。

2023年1月11日水曜日

 

215-20230111

今回は「弁明の機会」について解説します。

(解説)

1 懲戒処分が有効と認められるためには、次の4つの要件が必要です。すなわち、①使用者が懲戒権を有すること、②従業員の行為が就業規則の懲戒事由に該当すること(懲戒事由該当性)、③行なった懲戒が懲戒処分の濫用と評価されないこと、④弁明の機会を与えるなど就業規則で定められた手続違反がないこと等です。

2 すべての懲戒処分について④の弁明の機会を付与することを義務づけると、懲戒手続が煩雑になるので、この就業規則では、諭旨解雇又は懲戒解雇に処する場合に限って弁明の機会を付与することにしました。就業規則で従業員に弁明の機会が与えられているにもかかわらず、その手続を経過せずに懲戒処分を行なった場合は、重大な手続違反とされ、懲戒権の濫用と評価されます。

次回も「弁明の機会」について解説します。