2018年5月15日火曜日


72-20180515

今回は、割増賃金の具体的な計算方法を解説します。

(解説)
7 割増賃金を計算する場合の1時間当たりの単価(以下「時間単価」という)の計算方法は、労働基準法施行規則19条に定められています。
月給の従業員の場合は、月給を月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合は、1年間における1か月平均所定労働時間数)で除した金額がその従業員の時間単価です。
具体的には、[基本給+諸手当(家族手当、通勤手当などの除外手当を除く)]÷1年間の月平均所定労働時間数となります。
この計算式の「1年間の月平均所定労働時間数」は、[(365―年間所定休日数)×1日の所定労働時間]÷12です。

8 割増賃金の計算の基礎に入れなくてもよい賃金は、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤臨時に支払われた賃金、⑥賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、⑦住宅手当です。
以上の賃金以外の賃金は、すべて割増賃金の基礎となる賃金に入れなければなりません。なお、これらの賃金は、単に名称で判断するのではなく、当該手当・賃金が実質的にその性格に合致しているかどうかで判断します。
また、割増賃金の基礎となる賃金は、「通常の労働時間の賃金」ですから、時間外の労働に対する割増賃金、深夜労働割増賃金はこれに含まれません。

9 1日の所定労働時間が8時間、年間所定休日が120日(定休日105日、祝祭日など15日)、基本給15万円及び除外手当を除く諸手当5万円(月給20万円)の従業員の、1時間当たりの割増賃金単価は、次のようになります。


{ 20万円÷[(365日ー120日)× 8時間 ÷ 12か月]}×1.25 =1,531 円


次回は、「割増賃金に関するトラブル」の裁判例を紹介し、その解決方法を考えます。

2018年5月8日火曜日


71-20180508

今回も引続き「割増賃金を支払う場合」の解説をします。

(解説)
4 多くの歯科医院では、1週間に1日の休診日が決まっていますから、法定休日(1週間に1日も休日が確保されない場合)の労働は発生しないと思われます。
しかし、①振替休日を行った結果、1週間に1日の休日が確保できなかった場合や、②急患に対する対応など業務の都合によりやむを得ず法定休日に労働させるような場合が考えられます。
このような場合は、35%増以上の割増賃金を支払わなければなりません。

5 法定外の休日の労働により、1週間の法定労働時間(40時間)を超える場合には、25%増以上の割増賃金が発生します。

6 最近、顧客へのサービス向上のために、午後10時過ぎまで診療している医院も見受けられます。労働時間が深夜(午後10時から翌日午前5時までの時間帯)に及ぶ場合には、25%増以上の深夜労働割増賃金を加算する必要があります。

次回は、割増賃金の具体的な計算方法を解説します。

2018年5月1日火曜日


70-20180501

今回は「割増賃金を支払う場合」の解説をします。

(解説)
1 従業員にとって、どのような場合に割増賃金が支払われるのかは切実な問題です。割増賃金を正確に計算して給与を支払っているかどうかは、従業員の院長に対する信頼に関わり、ひいては従業員の定着をも左右します。
このため、私は、従業員を採用する際に就業規則の説明会を開き、その際、どのような場合に割増賃金が発生するか、その計算方法、従業員各人の割増賃金単価等を文書で交付することにしています。これが従業員の定着に大きく貢献していると考えています。

2 1週間の時間外労働を計算する場合に、すでにカウントされた日々の時間外労働は除いて計算します(2重に計算する必要はありません)。

3 労働時間を計算するときは、実労働時間を用います。したがって、休憩時間、欠勤、遅刻、早退の時間を含めません。誤解が多いのは年次有給休暇を取得した時間です。これは、労務の提供がないので、実労働時間とはなりません。

次回も「割増賃金を支払う場合」の解説をします。




2018年4月24日火曜日


69-20180424

今回は、「割増賃金を支払う場合」に関する条文を作成します。

第〇条(割増賃金を支払う場合)
1 次の各号に該当する時間があるときは、時間外労働割増賃金を支払う。
  1日については、8時間を超えて労働した時間
  1週間については、40時間を超えて労働した時間(前号の時間を除く)
2 前項の時間を計算するときは、実労働時間を用いるものとし、休憩時間、欠勤、遅刻、早退及び年次有給休暇の時間を含めない。
3 第1項第2号の1週間は、日曜日を起算日とする。
4 法定休日(1週間に1日も休日が確保されなかった場合)に労働させた場合には、その労働させた時間に対して法定休日労働割増賃金を支払う。
5 法定休日以外の休日に労働させた場合(振替休日を与えた場合を含む)において、第1項第2号に該当するときは、時間外労働割増賃金を支払う。
6 深夜の時間帯(午後10時から翌日の午前5時までの時間帯)に労働させたときは、深夜労働割増賃金を加算する。

次回は、「割増賃金を支払う場合」の条文について、解説をします。

2018年4月18日水曜日


68-20180418

今回は「一斉休憩」の解説をします。

(解説)
3 一斉休憩が困難な事業については、一斉休憩の原則の例外が設けられており(労働基準法40条、同施行規則31条)、歯科医院はこれに該当する事業(病院等保健衛生の事業)と考えられます。しかし、私は、労使協定によって一斉休憩の適用除外のルールを明らかにするように薦めています。

4 歯科医院では、①治療時間が延びる場合、②アポイントどおりに来院されない患者さんに対処しなければならない場合、③急患の処置をしなければならない場合、④休憩時間中の電話応対のために当番を決める必要もあります。このようなケースに備えて、あらかじめ労使協定によって一斉休憩の適用除外のルールを具体的に決めておいたほうが医院の円滑な運営に役立ちます。

5 医院は休憩時間を従業員に自由に利用させなければなりません(労働基準法34条3項)。これについて、休憩時間中の外出が問題になることがあります。休憩時間の自由利用に関して、職場の規律を保持するうえで必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えないとされています(行政通達)。しかし、歯科医院では、独身の女性だけでなく、ひとりで子供を育てている女性も少なくありません。このような従業員に対して、銀行や役所の手続、買物などのために外出することを広く認めることが、ひいては従業員の定着に資することになります。

次回は「割増賃金を支払う場合」の条文を作ります。

2018年4月11日水曜日


67-20180411

今回は「一斉休憩」の解説をします。

(解説)
1 休憩時間とは、従業員が業務から完全に離れることを権利として保障されている時間であって、単に業務に従事していない状態をいうのではありません。
歯科医院では、休憩時間中(この就業規則では、13時から14時までの60分間及び15分間の交代休憩<第57回参照>)にも患者さんや取引業者から頻繁に電話があります。
この電話応対のために当番を決めて待機させる時間は労働時間となります。

2 労働基準法は、1日の労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも60分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと規定しています(労働基準法34条1項)。
さらに、この休憩時間は一斉に与えなければならず(同条2項)、それを自由に利用させなければならないとしています(同条3項)。

次回も引続き「一斉休憩」の例外の解説をします。

2018年4月3日火曜日


66-20180403

今回は、歯科医院の従業員の「一斉休憩」に関する条文を作成します。

第〇条(一斉休憩)
1 医院は、従業員に対し、第○条の休憩時間(15分間の交代休憩を除く)において、一斉に休憩を与えるものとする。
2 前項にかかわらず、業務上の必要があるときは従業員の過半数を代表する者と労働基準法34条第2項但書に基づき労使協定を締結し、休憩を一斉に付与しないことがある。

次回は、歯科医院の従業員の「一斉休憩」についての条文の解説をいたします。