2018年5月1日火曜日


70-20180501

今回は「割増賃金を支払う場合」の解説をします。

(解説)
1 従業員にとって、どのような場合に割増賃金が支払われるのかは切実な問題です。割増賃金を正確に計算して給与を支払っているかどうかは、従業員の院長に対する信頼に関わり、ひいては従業員の定着をも左右します。
このため、私は、従業員を採用する際に就業規則の説明会を開き、その際、どのような場合に割増賃金が発生するか、その計算方法、従業員各人の割増賃金単価等を文書で交付することにしています。これが従業員の定着に大きく貢献していると考えています。

2 1週間の時間外労働を計算する場合に、すでにカウントされた日々の時間外労働は除いて計算します(2重に計算する必要はありません)。

3 労働時間を計算するときは、実労働時間を用います。したがって、休憩時間、欠勤、遅刻、早退の時間を含めません。誤解が多いのは年次有給休暇を取得した時間です。これは、労務の提供がないので、実労働時間とはなりません。

次回も「割増賃金を支払う場合」の解説をします。




2018年4月24日火曜日


69-20180424

今回は、「割増賃金を支払う場合」に関する条文を作成します。

第〇条(割増賃金を支払う場合)
1 次の各号に該当する時間があるときは、時間外労働割増賃金を支払う。
  1日については、8時間を超えて労働した時間
  1週間については、40時間を超えて労働した時間(前号の時間を除く)
2 前項の時間を計算するときは、実労働時間を用いるものとし、休憩時間、欠勤、遅刻、早退及び年次有給休暇の時間を含めない。
3 第1項第2号の1週間は、日曜日を起算日とする。
4 法定休日(1週間に1日も休日が確保されなかった場合)に労働させた場合には、その労働させた時間に対して法定休日労働割増賃金を支払う。
5 法定休日以外の休日に労働させた場合(振替休日を与えた場合を含む)において、第1項第2号に該当するときは、時間外労働割増賃金を支払う。
6 深夜の時間帯(午後10時から翌日の午前5時までの時間帯)に労働させたときは、深夜労働割増賃金を加算する。

次回は、「割増賃金を支払う場合」の条文について、解説をします。

2018年4月18日水曜日


68-20180418

今回は「一斉休憩」の解説をします。

(解説)
3 一斉休憩が困難な事業については、一斉休憩の原則の例外が設けられており(労働基準法40条、同施行規則31条)、歯科医院はこれに該当する事業(病院等保健衛生の事業)と考えられます。しかし、私は、労使協定によって一斉休憩の適用除外のルールを明らかにするように薦めています。

4 歯科医院では、①治療時間が延びる場合、②アポイントどおりに来院されない患者さんに対処しなければならない場合、③急患の処置をしなければならない場合、④休憩時間中の電話応対のために当番を決める必要もあります。このようなケースに備えて、あらかじめ労使協定によって一斉休憩の適用除外のルールを具体的に決めておいたほうが医院の円滑な運営に役立ちます。

5 医院は休憩時間を従業員に自由に利用させなければなりません(労働基準法34条3項)。これについて、休憩時間中の外出が問題になることがあります。休憩時間の自由利用に関して、職場の規律を保持するうえで必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えないとされています(行政通達)。しかし、歯科医院では、独身の女性だけでなく、ひとりで子供を育てている女性も少なくありません。このような従業員に対して、銀行や役所の手続、買物などのために外出することを広く認めることが、ひいては従業員の定着に資することになります。

次回は「割増賃金を支払う場合」の条文を作ります。

2018年4月11日水曜日


67-20180411

今回は「一斉休憩」の解説をします。

(解説)
1 休憩時間とは、従業員が業務から完全に離れることを権利として保障されている時間であって、単に業務に従事していない状態をいうのではありません。
歯科医院では、休憩時間中(この就業規則では、13時から14時までの60分間及び15分間の交代休憩<第57回参照>)にも患者さんや取引業者から頻繁に電話があります。
この電話応対のために当番を決めて待機させる時間は労働時間となります。

2 労働基準法は、1日の労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも60分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと規定しています(労働基準法34条1項)。
さらに、この休憩時間は一斉に与えなければならず(同条2項)、それを自由に利用させなければならないとしています(同条3項)。

次回も引続き「一斉休憩」の例外の解説をします。

2018年4月3日火曜日


66-20180403

今回は、歯科医院の従業員の「一斉休憩」に関する条文を作成します。

第〇条(一斉休憩)
1 医院は、従業員に対し、第○条の休憩時間(15分間の交代休憩を除く)において、一斉に休憩を与えるものとする。
2 前項にかかわらず、業務上の必要があるときは従業員の過半数を代表する者と労働基準法34条第2項但書に基づき労使協定を締結し、休憩を一斉に付与しないことがある。

次回は、歯科医院の従業員の「一斉休憩」についての条文の解説をいたします。

2018年3月27日火曜日

65-20180327

今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。


(解説)
13 1か月単位の変形労働時間制では、各日・各週の所定労働時間を具体的に特定する必要がありますが、いったん特定した労働時間を変更することができるかという問題があります。これについては、①1日の所定労働時間を変更せずに、始業・終業時刻を変更することは可能です(前回の解説12を参照)。但し、就業規則に「業務上やむを得ない事情により、前項の時間を繰り上げ又は繰り下げることがある」旨の規定(第57回の条文参照)が必要です。

14 しかし、②1か月間の所定労働時間数を変更することなく、1日の所定労働時間数を変更する(例えば、○日の所定労働時間が8時間で、△日の所定労働時間が10時間である場合に、○日の所定労働時間を10時間に、△日の所定労働時間を8時間に変更し、1か月の所定労働時間171時間は変えない)ことができるでしょうか?
就業規則であらかじめこのような変更ができる旨の規定を設けていれば可能であるという解釈もできます。
しかし、このような変更を認めると、1か月単位の変形労働時間制では「各日・各週の所定労働時間を具体的に特定する必要がある」という要件を潜脱することになりますし、変更する頻度が多かったり、直前になって変更する旨の通知を行うような場合には、従業員の生活設計が不安定になるおそれがあります。このような理由から、上記②のような変更は認められないと考えます。

15 さらに、③1ヶ月間の所定労働時間数を変更することになるような1日の所定労時間数の変更はできません。

16 1か月単位の変形労働時間制では、残業時間の把握の仕方、休日振替えの問題その他多くの問題がありますから、その導入に際しては、社会保険労務士に相談されることをお薦めいたします。


次回は「一斉休憩」の条文を作ります。

2018年3月8日木曜日

64-20180308
今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

(解説)
10 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、「変形期間における各日・各週の労働時間」を定める必要があります。
しかし、歯科医院の場合、1か月先のアポイントの状況により、各日・各週の労働時間を就業規則で具体的に定めることは難しいでしょう。
そのため、各日・各週の労働時間は「労使協定」で定めることとしています。
加えて、運用上、労働時間・残業時間を正確に把握するために、1か月毎の「労働時間管理表(エクセル仕様)」を作成して管理することをお薦めしています。

11 1か月を平均して、週40時間の範囲内であっても、使用者(院長)が業務の都合により恣意的に労働時間を変更することはできません(行政通達)。

12 就業規則には、「始業・終業時刻」を規定する必要があります(労働基準法89条1項)。この就業規則では、これを3項に規定しました。
各日の所定労働時間を変更しない範囲で、始業・終業時刻を繰上げ・繰下げすることはかまわないと考えますので、業務上やむを得ない事情があるときは、始業・終業時刻を変更することができることとし、この場合には、該当する従業員に対して前日までに通知するようにしました。


次回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。