186-20220511
今回から「懲戒の種類及び程度」について解説します。
(解説)
1 この就業規則では、①けん責、②減給、③出勤停止、④降職・降格、⑤諭旨解雇、⑥懲戒解雇等6種類の懲戒処分を定めています。使用者は、従業員の労働契約上の義務違反に対して解雇権や損害賠償請求権を有するわけですが、これらとは別にどうして懲戒処分を科すことができるのでしょうか?
2 これについて、裁判例は、懲戒権を行使するためには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要するとしています(フジ興産事件・最高裁平成15年判決)。また、労働契約法は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効とする」と規定しています(労働契約法15条)。
3 このように、懲戒権は、就業規則の懲戒規定が、内容の合理性と周知を要件に労働契約の内容となり、懲戒権を発生させると考えられます。このような考え方によれば、懲戒権は、就業規則に規定されてはじめて発生するので、就業規則に定めた以外の理由によっては懲戒を行なうことはできないということになります。
次回も引続き「懲戒の種類及び程度」について解説します。
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