159-20210721
今回も引続き「辞職」について解説をします。
(解説)
5 辞職(一方的退職)の意思表示は、合意退職の場合と異なり、当該意思表示が医院(院長)に到達した時点で解約の効力を生ずるため、事後的な撤回はできません。ただし、意思表示の瑕疵による無効または取消(民法93条~96条)の主張は可能です。次のような裁判例があります。①従業員が、実際には退職するつもりではないのに、反省の意味で退職願を出し、使用者もそのことを知っていた場合、当該退職の意思表示は心裡留保(民法93条)として無効になる(昭和女子大事件)。②客観的には懲戒解雇事由がないのに、使用者がそれがあるかのように従業員に誤信させ、従業員に退職の意思表示をさせた場合は、当該退職の意思表示は錯誤(民法95条)として取消すことができる(昭和電線事件)。③使用者が、従業員を長時間一室に押しとどめて懲戒解雇をほのめかして退職を強要したというように、従業員に畏怖心を生じさせて退職の意思表示をさせたと認められる場合には、当該意思表示は強迫(民法96条)による取消ができる(石見交通事件)。以上の裁判例は、業種の異なる歯科医院にも参考になるものです。
次回も引続き「辞職」の解説をします。
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