今回は、「パワー・ハラスメントの禁止」に関する条文の解説をします。
(解説)
1 パワー・ハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」(平成24年3月15日、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議『職場のパワー・ハラスメントの予防・解決に向けた提言』)と定義されています。
①については、「業務の適正な範囲」に含まれないのは明らかです。②と③については、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられます。④⑤⑥については、適正な業務上の教育・指導・注意との線引きが容易でない場合がありますが、具体的な判断を行う場合には、そのような行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによって左右される部分もあるので、それぞれの職場でその範囲を明確にする取り組みを継続する必要があるでしょう。
2 歯科医院で日常的に行われている教育・指導・注意などの業務上の行為が、たとえ悪意がなくても業務の適正な範囲を超えるときは、時として相手を深く傷つけることになる場合があります。このような行為は「職場のパワー・ハラスメント」に当たるので、歯科医院の職場からなくしてゆくべきです。職場のパワー・ハラスメントは、院長・上司から部下に対するものばかりでなく、同僚の間でも、部下から上司に対しても行われます。このように、パワー・ハラスメントは、働く人の誰でもがその当事者になり得るということに注意する必要があります。
次回も引き続き、「パワー・ハラスメントの禁止」に関する条文の解説をします。
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