216-20230125
今回も「弁明の機会」について解説します。
(解説)
3 就業規則に口頭又は文書による弁明の機会を付与することが定められているにもかかわらず、これを行なわずに懲戒解雇したのは重大な手続違反であり当該懲戒解雇は無効と判示した裁判例(千代田学園事件:東京高裁判決平成16年)があります。
4 就業規則がない歯科医院や就業規則があっても弁明の機会の付与についての規定がない歯科医院の場合はどうなるのでしょうか?「懲戒解雇」は、懲戒(制裁)として行なわれる解雇であり、懲戒の中で最も重い処分です。懲戒解雇された従業員は、働く職場と退職金請求権を失うだけでなく、不名誉な処分を受けたために再就職が困難になるという重大な不利益を被ります。「諭旨解雇」は、本人に反省が認められるなどの情状等を斟酌して、懲戒解雇を若干緩和した処分ですが、従業員を失職させる点で不利益を与えることに変わりはありません。したがって、懲戒解雇や諭旨解雇のような重い処分を行なう場合は、たとえ就業規則に弁明の機会の付与についての規定がない場合であっても、弁明の機会を付与することが必要だと考えます。同旨の裁判例があります(ビーアンドヴイ事件:東京地裁判決平成22年)。
次回は「懲戒の減軽」に関する条文を考えます。
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