181-20220209
今回は普通解雇の手続について解説します。
(解説)
35 普通解雇手続の規定内容は第165回を参照してください。第167回から第169回で、その規定内容を詳しく解説していますので参照してください。
36 客観的に合理的な理由がなくて解雇が無効になった場合、従業員の賃金はどうなるのでしょう?民法は、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない」と定めています(民法536条2項)。この場合の債権者とは使用者のことです。歯科医院で歯科衛生士、歯科助手、歯科受付などの従業員を解雇した場合を考えてみましょう。解雇が裁判で無効と判断された場合には、これまでどおりの雇用契約が続いていることになります。しかし、解雇期間中(使用者が従業員の就労を拒否している状態)では、従業員は現実に働くことができないので、労働義務(債務)を履行することができない状態(履行不能の状態)にあります。この履行不能は、合理的な理由もないのに解雇した医院にその責任があるといえますから、従業員は賃金(反対給付)を請求する権利があることになります。このように賃金の面からも、解雇はよほど慎重でなければなりません。
次回は「退職又は解雇時の義務」について解説します。
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