2020年1月15日水曜日


114-20200115

今回も引続き「計画年休」の解説をします。

(解説)
4 計画年休により年次有給休暇を付与する方法としては、①医院全体で休業して一斉に付与する方法(一斉付与方式)、②チーム(班)ごとに交代で休業して付与する方法(交代制付与方式)、③年次有給休暇付与計画表によって個人ごとに休業して付与する方法(個人別付与方式)などが考えられます。
歯科医院の場合は、個人別付与方式が無難なので、私はこの方式をお薦めしています。

5 計画年休を行う場合は、労使協定が必要です(届出は不要)。
上記③の個人別付与方式の場合は、計画表を作成する時期や付与の手続等を労使協定に定めることになります。
歯科医院では、小さな子どもを一人で育てている女性従業員も少なくありませんし、介護をしている従業員もいます。
このような場合に、医院が従業員本人の希望の有無にかかわらず一方的に計画付与することは適当ではないので、労使の事前協議によって調整するとか、計画付与の対象から除外するなどの配慮が必要になります。

6 突発的な事態が発生したり、やむをえない業務上の必要により労働の必要が生じた場合に、いちど定めた計画年休日を変更する必要が生じますが、当該労使協定に変更に関する定めがなければ計画年休日を変更することができません。
このような場合に備えて、たとえば「業務の運営に著しい支障をきたす場合には、医院は本協定による年次有給休暇日を他の日に変更することができる」のような変更権を定めておく必要があります。

次回も引続き「計画年休」の解説をします。

2020年1月8日水曜日


113-20200108

今回は「計画年休」の解説をします。

(解説)
1    年次有給休暇の計画的付与(計画年休)は、年次有給休暇の取得を促進する目的で、
従業員が職場に気兼ねすることなく年次有給休暇を所得できるようにするために1987
年(昭和62年)の労働基準法の改正で導入されたものです。

2 計画年休を実施するためには、①労使協定を締結すること、②従業員が有する有給休暇のうち「5日を超える部分」について計画的に付与することが必要です(つまり、年次有給休暇のうち5日<前年度からの繰越分を含めて5日でよい>を従業員が自由に取得できる日数として残しておかなければならないということです)。

3 我が国で有給休暇の取得日数がきわめて少ないのは、従業員本人が請求(時季指定)しない限り取得が行われないところに大きな原因があると考えられるので、これを改善するためには、労使協定によって、従業員の請求がなくても使用者が強制的に付与することが有効であると考えられたからです。

次回も引続き「計画年休」の解説をします。