65-20180327
今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。
(解説)
13 1か月単位の変形労働時間制では、各日・各週の所定労働時間を具体的に特定する必要がありますが、いったん特定した労働時間を変更することができるかという問題があります。これについては、①1日の所定労働時間を変更せずに、始業・終業時刻を変更することは可能です(前回の解説12を参照)。但し、就業規則に「業務上やむを得ない事情により、前項の時間を繰り上げ又は繰り下げることがある」旨の規定(第57回の条文参照)が必要です。
14 しかし、②1か月間の所定労働時間数を変更することなく、1日の所定労働時間数を変更する(例えば、○日の所定労働時間が8時間で、△日の所定労働時間が10時間である場合に、○日の所定労働時間を10時間に、△日の所定労働時間を8時間に変更し、1か月の所定労働時間171時間は変えない)ことができるでしょうか?
就業規則であらかじめこのような変更ができる旨の規定を設けていれば可能であるという解釈もできます。
しかし、このような変更を認めると、1か月単位の変形労働時間制では「各日・各週の所定労働時間を具体的に特定する必要がある」という要件を潜脱することになりますし、変更する頻度が多かったり、直前になって変更する旨の通知を行うような場合には、従業員の生活設計が不安定になるおそれがあります。このような理由から、上記②のような変更は認められないと考えます。
15 さらに、③1ヶ月間の所定労働時間数を変更することになるような1日の所定労時間数の変更はできません。
16 1か月単位の変形労働時間制では、残業時間の把握の仕方、休日振替えの問題その他多くの問題がありますから、その導入に際しては、社会保険労務士に相談されることをお薦めいたします。
次回は「一斉休憩」の条文を作ります。