2018年3月27日火曜日

65-20180327

今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。


(解説)
13 1か月単位の変形労働時間制では、各日・各週の所定労働時間を具体的に特定する必要がありますが、いったん特定した労働時間を変更することができるかという問題があります。これについては、①1日の所定労働時間を変更せずに、始業・終業時刻を変更することは可能です(前回の解説12を参照)。但し、就業規則に「業務上やむを得ない事情により、前項の時間を繰り上げ又は繰り下げることがある」旨の規定(第57回の条文参照)が必要です。

14 しかし、②1か月間の所定労働時間数を変更することなく、1日の所定労働時間数を変更する(例えば、○日の所定労働時間が8時間で、△日の所定労働時間が10時間である場合に、○日の所定労働時間を10時間に、△日の所定労働時間を8時間に変更し、1か月の所定労働時間171時間は変えない)ことができるでしょうか?
就業規則であらかじめこのような変更ができる旨の規定を設けていれば可能であるという解釈もできます。
しかし、このような変更を認めると、1か月単位の変形労働時間制では「各日・各週の所定労働時間を具体的に特定する必要がある」という要件を潜脱することになりますし、変更する頻度が多かったり、直前になって変更する旨の通知を行うような場合には、従業員の生活設計が不安定になるおそれがあります。このような理由から、上記②のような変更は認められないと考えます。

15 さらに、③1ヶ月間の所定労働時間数を変更することになるような1日の所定労時間数の変更はできません。

16 1か月単位の変形労働時間制では、残業時間の把握の仕方、休日振替えの問題その他多くの問題がありますから、その導入に際しては、社会保険労務士に相談されることをお薦めいたします。


次回は「一斉休憩」の条文を作ります。

2018年3月8日木曜日

64-20180308
今回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。

(解説)
10 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、「変形期間における各日・各週の労働時間」を定める必要があります。
しかし、歯科医院の場合、1か月先のアポイントの状況により、各日・各週の労働時間を就業規則で具体的に定めることは難しいでしょう。
そのため、各日・各週の労働時間は「労使協定」で定めることとしています。
加えて、運用上、労働時間・残業時間を正確に把握するために、1か月毎の「労働時間管理表(エクセル仕様)」を作成して管理することをお薦めしています。

11 1か月を平均して、週40時間の範囲内であっても、使用者(院長)が業務の都合により恣意的に労働時間を変更することはできません(行政通達)。

12 就業規則には、「始業・終業時刻」を規定する必要があります(労働基準法89条1項)。この就業規則では、これを3項に規定しました。
各日の所定労働時間を変更しない範囲で、始業・終業時刻を繰上げ・繰下げすることはかまわないと考えますので、業務上やむを得ない事情があるときは、始業・終業時刻を変更することができることとし、この場合には、該当する従業員に対して前日までに通知するようにしました。


次回も引続き「1か月単位の変形労働時間制」の解説をします。