2023年6月28日水曜日

 

233-20230628

今回も、「健康診断」について解説します。

(解説)

3 第3項は、定期健康診断の結果に異常の所見(たとえば、再検査や精密検査を要する旨の所見)がみられた場合について、医院が再検査を命じることを前提に、従業員に対して医院が指定する医師による再検査の受診義務を定めたものです。従業員に異常の所見がみられたことを知りながら通常通りの業務を行なわせ、その結果従業員がたとえば死亡し又は労務不能になった場合には、医院は「安全配慮義務」違反を理由に損害賠償請求されることにもなりかねないので、注意が必要です。

4 安全配慮義務とは、“信義則に基づき、労務提供に伴う従業員の生命・身体への危険を未然に防止する義務”です。労働契約における安全配慮義務は、使用者(歯科医院)に対して広範でかつ積極的な作為義務(健康管理・安全教育・施設の整備点検・業務軽減など)を義務づけるものになっています。

次回も引続き「健康診断」について解説します。

2023年6月14日水曜日

 

232-20230614

今回は、「健康診断」について解説します。

(解説)

1 歯科医院(事業者)は、従業員に対して1年に1回、定期健康診断を行なわなければなりません(労働安全衛生法66条1項)。他方、従業員も、歯科医院が行なう健康診断を受診しなければなりません(同法66条5項本文)。そこで、この就業規則の第1項は、従業員に定期健康診断を義務づけています。なお、従業員は、歯科医院が指定した医師とは別の医師による健康診断を受ける「医師選択の自由」があります(同法66条5項但書)。これは、歯科医院が指定する医師が、たとえば院長の意を受けた診断結果を作成するおそれがあるとも限らないので、従業員に自分の信頼する医師による診断を受ける途を与えたものです。

2 第2項は、正当な理由なく定期健康診断を受診しない従業員に対して懲戒処分を行なうことがあると定めています。定期健康診断は歯科医院に法的に義務づけられているものですし、従業員の健康状態を正確に把握することは労務管理上きわめて重要であるからです。

次回も引続き「健康診断」について解説します。

2023年6月7日水曜日

 

231-20230607

今回は、健康診断に関する条文を作成します。

第〇条(健康診断)

1. 従業員は、毎年1回、医院の指定する医師による定期健康診断を受けなければならない。

2. 従業員が、正当な理由なく前項の定期健康診断を受診しない場合、第○条の規定により懲戒処分とすることがある。

3.従業員は、第1項に規定する定期健康診断の結果に異常の所見がある場合には、医院の指定する医師による再検査を受診し、その結果を医院に報告しなければならない。

4.従業員が、正当な理由なく前項の再検査を受診しない場合、又はその結果を報告しない場合には、医院は当該従業員の就業を拒否する場合がある。

5.医院は、第1項の健康診断及び第3項の再検査以外にも、随時従業員に対し健康診断の受診及びその結果の報告を命じることがある。この場合には、前項の規定を準用する。

6.第1項、第3項及び前項に定める健康診断に要する時間については、無給とする。

次回は、「健康診断」について解説をします。