2023年5月17日水曜日

 

230-20230517

今回も引続き「安全衛生の義務」について解説します。

(解説)

4 歯科医院では、患者さんの治療に用いた器具で誤って身体を刺して負傷したケース(業務上の事故による負傷)や業務遂行中の腰部への突発的な出来事によって生じた腰痛(業務上の疾病)などが散見されます。仕事のストレスと従業員自身の精神的脆弱性が相まって発症する「うつ病」などの精神障害にも注意が必要です。

医院は、安全・衛生に関する諸規則を作成し、従業員に対して教育を実施し、必要な諸々の措置・手段を講じるなど、職場における従業員の安全と健康を確保するために十分な配慮をする義務があります(労働契約法5条)。

5 医院が安全配慮義務を怠って従業員が被災した場合には、不法行為(民法709715条)や債務不履行(民法415条)に基づく損害賠償責任を追及されることにもなりますので注意が必要です。

次回は「健康診断」に関する条文を考えます。

2023年5月10日水曜日

 

229-20230510

今回は、「安全衛生の義務」について解説します。

(解説)

1 本条第1項は医院が定める安全・衛生に関する諸規則を遵守して労働災害防止に努めることを従業員に義務づけ、第2項では従業員として特に遵守すべき安全・衛生上の事項を定めています。そして、第3項では実際に業務災害が発生した場合の対処方針を規定しています。

2 労働安全衛生法は、職場における従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています(労働安全衛生法1条)。この法律は、歯科医院の安全配慮義務(労働契約法5条<使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする>)の内容になりますから、歯科医院は労働安全衛生法を遵守する必要があります。

3 他方、歯科医院が労働安全衛生法遵守するにあたっては従業員の協力が不可欠です。ですから、従業員は、医院が実施する労働災害の防止に協力するよう努めなければなりません(労働安全衛生法4条)。

次回も引続き「安全衛生の義務」について解説します。