2022年9月28日水曜日

 

204-20220928

今回は、「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」の第1項第9号から第16号を作成します。

第○条(諭旨解雇及び懲戒解雇の事由)

1.従業員が次の各号の1つに該当するときは、その情状に応じ諭旨解雇又は懲戒解雇に処する。但し、改悛の情が顕著であること、過去の勤務成績が優良であったこと等を勘案し、前条の処分にとどめることがある。

   医院の許可なく他の組織の役員に就任し、若しくは他に雇用され、又は自ら営業を行なった場合

   重大な医院の秘密を漏洩し、若しくは私的に利用し、医院に重大な損害を与えた場合

   医院の経営に関して真相を歪曲して宣伝流布し、若しくは医院に対して不当な誹謗中傷を行なうことにより医院の名誉若しくは信用を毀損し、又は医院に損害を与えた場合

   個人情報の保護に関する服務規律に違反して医院の名誉若しくは信用を毀損し、又は医院に損害を与えた場合

   報告・届出に関する服務規律に違反して、医院に損害を与えた場合

   報告・届出に関する服務規律又は届出事項等に変更が生じた場合の服務規律に違反して、故意に届出を怠り又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した場合

   第○条(セクシャルハラスメントの禁止)に違反した場合

   第○条(パワーハラスメントの禁止)に違反した場合

次回は、「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」の第1項第17号から第22号まで及び第2項を作成します。

2022年9月21日水曜日

 

203-20220921

今回から3回に分けて「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」に関する条文を作成します。

第○条(諭旨解雇及び懲戒解雇の事由の事由)

1.従業員が次の各号の1つに該当するときは、その情状に応じ諭旨解雇又は懲戒解雇に処する。但し、改悛の情が顕著であること、過去の勤務成績が優良であったこと等を勘案し、前条の処分にとどめることがある。

   自己又は第三者のために従業員としての地位を利用し、医院に損害を与えた場合

   自己又は第三者のために金品の供与を受け、不正の利益を得た場合

   火気取締に関する服務規律に違反して火災を発生させ、医院に重大な損害を与えた場合

   暴行、脅迫、名誉棄損等の行為により、他の従業員、取引先若しくは医院関係者に傷害を負わせ、精神的若しくは財産的損害を被らせ又は職場の秩序若しくは風紀を乱した場合

   故意若しくは重大な過失又は不作為により医院の物品を損壊し、医院に重大な損害を与えた場合

   次のような交通法規違反又は交通事故をおこした場合

ア 酒酔い運転又は酒気帯び運転をした場合

イ 交通違反行為をして、人を死亡させ又は重篤な障害を負わせた場合

   業務目的以外の使用が禁止されているにもかかわらず、これに違反して医院に重大な損害を与えた場合

   医院の名誉若しくは信用を毀損する行為をした場合

次回は、「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」の第9号から第16号までの条文を作成します。

2022年9月14日水曜日

 

202-20220914

今回は「職場外の非行行為により医院の名誉・信用を損ない、もしくは医院に損害を及ぼし、又は職場秩序を乱した場合」について解説します。

(解説)

7 この就業規則では、「職場外の非行行為により医院の名誉・信用を損ない、もしくは医院に損害を及ぼし、又は職場秩序を乱した場合」はその情状に応じ、けん責、減給、出勤停止又は降職・降格に処すると規定しています。職場外の非行行為には、①犯罪行為、②医院の批判、③内部告発、④医院の秘密の漏洩、⑤競合行為、⑥職場外の言論活動などが考えられます。そもそも懲戒処分の対象となる行為は、職場内における就業時間内の行為に限られるべきです。ですから、①から⑥のような職場外かつ就業時間外の非行行為は私生活上の行為なので、原則として懲戒処分の対象にはならないはずです。しかし、従業員は信義則のうえで、医院の名誉・信用を損なわない義務や医院に損害を及ぼさない義務、職場秩序を乱さない義務等を負っています。したがって、従業員の①から⑥のような職場外かつ就業時間外の非行行為が、医院の名誉・信用を損ない、医院に損害を及ぼし、職場秩序を乱す結果となるような場合には、懲戒処分の対象となり得ます。

8 歯科医院では、④医院の秘密の漏洩が考えられます。業種は異なりますが、重大な企業秘密の漏洩は、従業員の誠実義務違反、守秘義務違反であって、それが同時に企業業績に打撃を与えるなど企業秩序を侵害した場合は懲戒処分が相当であると判示した裁判例があります(古河鉱業事件・東京高裁昭和55年)。ただし、①から⑥のような職場外かつ就業時間外の行為を懲戒処分とすることは、私生活の自由とも抵触するので、その懲戒事由該当性はかなり慎重に判断する必要があります。社会保険労務士にご相談されることをお勧めいたします。

次回は「諭旨解雇及び懲戒解雇の事由」に関する条文を考えます。

2022年9月7日水曜日

 

201-20220907

今回は「経費の不正な処理をした場合」について解説します。

(解説)

6 この就業規則では、「経費の不正な処理をした場合」はその情状に応じ、けん責、減給、出勤停止又は降職・降格に処すると規定しています。歯科医院で、従業員が交通費や出張費を不正に受給して降職・降格処分に処せられた場合を考えてみましょう。従業員は、医院に対して誠実に労務を提供する義務や職場秩序を遵守する義務を負っています。したがって、交通費や出張費を不正に受給する行為は医院に対して経済的損害を与え、職場秩序を乱すことになりますから、降職・降格処分にされてもやむを得ないと考えられます。他方、交通費や出張費の受給額が少額で医院に及ぼす経済的損害が軽微である場合は、当該懲戒処分は懲戒の相当性を欠き無効とされる可能性があります。

次回も引続き「けん責、減給、出勤停止及び降職・降格の事由」について解説します。