2022年3月16日水曜日

 

185-20220316

今回は、「懲戒の種類及び程度」に関する条文を作成します。

第○条(懲戒の種類及び程度)

医院は、次の区分により懲戒を行なう。

   けん責・・・・・始末書を提出させて将来を戒める。

   減給・・・・・・始末書を提出させて将来を戒めるとともに減給する。この場合、減給の額は1事案について平均賃金の一日分の半額とし、複数事案については1賃金支払期間の減給総額が当該賃金支払期間における賃金総額の10分の1を超えないものとする。但し、減給総額が当該賃金支払期間における賃金総額の10分の1を超える部分については、翌月以降の賃金を減ずる。

   出勤停止・・・・始末書を提出させて将来を戒めるとともに7労働日以内の期間を定めて出勤を停止し、その間の賃金を支給しない。

   降職・降格・・・始末書を提出させて将来を戒めるとともに、職位を解任もしくは引下げ又は資格のランクを降ろす。

   諭旨解雇・・・・懲戒解雇相当の理由がある場合で本人に反省が認められるときは、解雇事由に関し本人に説諭して解雇することがある。諭旨解雇となる者には、その状況を勘案して退職金の一部を支給しないことがある。

   懲戒解雇・・・・予告期間を設けることなく即時に解雇する。但し、労働基準法20条1項但書の定める解雇予告除外事由がある場合には、解雇予告手当を支給しない。懲戒解雇となる者には、その状況を勘案し、退職金の全部又は一部を支給しない。

次回は、「懲戒の種類及び程度」に関する条文の解説をします。

2022年3月9日水曜日

 

184-20220309

今回も引続き「退職又は解雇時の義務」について解説します。

(解説)

3 業務の引継ぎがなされずに医院が損害を被ったときは、当該従業員に対して損害賠償を請求することができます。しかし、そのためには、医院が現実に損害を被っており、かつ引継ぎが行なわれなかったことと損害との間に因果関係があることが必要です。しかも挙証責任は医院側にあります。したがって、損害賠償が認められるためのハードルはそれなりに高いといえます。やはり、特に患者さんに関する重要な情報は、歯科衛生士や歯科受付などが個人的に管理せず、できる限りオフィシャルに共有する仕組みを構築し、業務の引継ぎがなされずに医院が損害を被らないような組織にしておくことが大切です。

次回は「懲戒の種類及び程度」に関する条文を作成します。

2022年3月2日水曜日

 

183-20220302

今回は「退職又は解雇時の義務」について解説します。

(解説)

1 この就業規則では、退職又は解雇時の従業員の義務に関して、①業務の引継ぎ、②貸与物品の返還、③債務の返済、④居住施設(寮など)からの退去を規定しています。これらの義務が円滑に履行されれば問題はないのですが、突然出勤しなくなったり、退職を申出たあとに有給休暇をとってそのまま出勤しなくなったり、従業員が業務の引継ぎを拒否するなど、必ずしも円滑に履行されるとは限りません。

2 歯科医院の場合、業務の引継ぎが円滑になされることは医院の運営にとってきわめて重要です。私は、どのような事項を、誰に、どのような方法で引継げばいいのか等を雇用契約の付属文書に具体的に定め、かつ従業員(歯科衛生士、歯科受付など)に説明しておくように指導しています。それでもこれに従わずに退職する従業員に対してどのような対応策が考えられるでしょうか?これについては次回で解説します。

次回も「退職又は解雇時の義務」について解説します。