2021年3月24日水曜日

 

142-20210324

 

今回も引続き、「生理日の休暇」について解説します。

(解説)

3 前回述べたように、生理に伴う苦痛の程度や就労の困難さは人によって個人差があるので、休暇を請求できる日数について「生理休暇は○日に限る」というような制限を設けることはできません。ただし、「生理休暇は○日間を有給とする」というような定めは、有給日数以上の休暇を与えることが明らかである場合はかまわないとされています(行政通達)。また、例えば歯科衛生士が生理休暇を1日単位でなく半日単位や時間単位で請求した場合は、その範囲で取得させればいいと思います(行政通達も同趣旨)。

 

4 生理休暇中の賃金については労働法令に規定がありません。行政通達は「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、その間の賃金は労働契約、労働協約又は就業規則で定めるところによって支給してもしなくても差し支えない」としています。この就業規則では、歯科医院の従業員の生理休暇中の賃金は無給としました(第2項)。

 

次回も引続き、「生理日の休暇」について解説します。

2021年3月17日水曜日

 

141-20210317

 

今回は、「生理日の休暇」について解説します。

(解説)

1 労働基準法68条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定しています。この規定の趣旨は、生理日に腹痛、腰痛、頭痛などの苦痛により就業が著しく困難な女性従業員(歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士、歯科受付)に対して、本人の請求により休暇取得を認めるものです。したがって、休暇を取得できるは、「生理日の就業が著しく困難な女性」が、「請求」した場合に限られます。

2 「生理日の就業が著しく困難」であることの判断の基準が問題になりますが、生理に伴う前項のような苦痛は、女性従業員に関わるプライバシーの問題であることに加えて、その苦痛の感じ方には個人差があることから、結局は当該女性従業員の主観的判断を尊重せざるを得ないと思われます。したがって、特別の証明がなくても女性従業員の請求があったときは原則として休暇を与えることとし、特に証明が必要な場合であっても同僚女性従業員の証言程度の簡単な証明で足りると考えます(行政通達も同趣旨)。これは、歯科医院でも適切に対応する必要があります。

 

次回も「生理日の休暇」の解説をします。

2021年3月10日水曜日

 

140-20210310

 

今回は、「生理日の休暇」に関する条文を作成します。

第〇条(生理日の休暇)

1 医院は、生理日の就業が著しく困難な女性従業員から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。

2 前項の休暇は、無給とする。

 

次回は、「生理日の休暇」について解説をします。

2021年3月3日水曜日

 

139-20210303

 

今回は、「軽易業務への転換」について解説します。

(解説)

1 労働基準法は、「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない」と規定しています(65条3項)。妊娠中の女性従業員が請求した場合には、使用者は原則として当該女性従業員が請求した業務に転換させる必要があります(行政通達)。ただし、新たに軽易な業務を創設することまで要求するものではなく、また、業務内容の転換のほか労働時間帯の変更なども含むと解されています(行政通達)。労働基準法は、「軽易な業務」とはどのような業務かについて何も規定してはいませんが、やはり当該女性従業員の判断を尊重して柔軟に対応する必要があるでしょう。歯科医院の場合、立ち仕事が妊婦の負担になるので、疲れた時にいつでも掛けられるように、椅子を用意することをお薦めしています。

 

2 歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士、歯科受付などの従事する業務を軽易な業務に転換した場合、従前の業務を前提として定められていた賃金を変更する必要が生じる場合があり得ます。このため、この就業規則では「転換後の業務に応じて」賃金を変更することができるようにしました。

 

次回は「生理日の休暇」の条文を作ります。