49-20170929
今回は、歯科医院の従業員の「出退勤」についての解説をします。
(解説)
1 労働基準法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない。」(三菱重工長崎造船所事件・最高裁平成12年判決)とされています。
2 歯科医院では、指定された制服や作業服に着替える時間、朝礼に要する時間、清掃や治療器具を準備する時間、後片付けの時間、終業後の私服に着替える時間なども使用者の指揮命令下に置かれていると考えられるので、労働時間に含まれます。したがって、これらを全部合計した実労働時間が8時間を超える部分については、割増賃金を支払う必要があります。
3 所定の服装に着替えた後及び業務終了後直ちにタイムカードを打刻するようにした場合、所定の服装に着替える時間及び終業後の私服に着替える時間を労働時間に算入する必要があります。着替える時間には個人差があるので、従業員とよく話し合って、合理的な時間を設定しましょう。
4 私は、上記3の合理的な時間に相当する時間を、通常の休憩時間のほかに交代休憩(名称及び具体的な時間は医院の状況を考慮して就業規則で定めます)として与え、かつ、この時間を実労働時間として取扱うようにお薦めしています。このようにすれば、所定の服装に着替える時間及び終業後の私服に着替える時間を労働時間に算入することになるだけでなく、トイレの時間を確保し(繁忙時にはトイレに行けないという苦情が結構多い)、立ち仕事からくる疲労や集中力の低下を回避することができるメリットがあります。
次回は、歯科医院の従業員の「欠勤、遅刻、早退、私用外出」についての規定を作ります。